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『山の自然学』山の自然の見方が変わる蘊蓄に富む貴重な一冊。山歩きの楽しみが倍増するお薦めのガイドブック。

■山の自然学■

『まえがき』より
北アルプスの白馬岳で【コマクサ】を見たとします。そのとき、「どうしてここにあるのだろう?」と考えると、『山の自然学』がはじまります。「砂礫地であることが大切なよう」「ではなぜそこが砂礫地に?」と次々に疑問が浮かんできます。本書はこんなふうに疑問に応える形で話が展開。
『山の自然学』の特色は、自然を地形・地質から動植物・昆虫まで、全部ひっくるめて、あるがままに把握しようという点にある。

【蛇紋岩植物】【残雪】【縞枯れ現象】【構造土】など、地質と生物の関係をとてもわかりやすく理解できる。山へ出かける前に、予備知識を得、さらに戻って再度確かめる。今では、高原や山をより楽しむための必携の書となっている。何気なく見過ごしてしまっているポイントが見えてくると、楽しみは倍加する。難しい学問として解説していないところが、とても好感をもって親しめる。日本の北から南まで、主だった山々が載っている。読み進むうちに、また行きたいところが増えてくる。

四季ある日本の山々が、それぞれとても魅力的に見えてくる。山と自然、地質と生物、少しわかると面白く、さらに興味がわき、自分の目で確かめながらの山歩きにつながる。山の自然の見方、捉え方、楽しみ方をガイドしてくれる蘊蓄に富む貴重な一冊。

『あとがき』より
「必要なのは、好奇心と自然の不思議さに感動する心だけである。不思議なものを不思議と思う素直な心で、自然を良く観察しながら登れば、自然の仕組が見えてきて、さらに新鮮で豊かな楽しみを味わうことができる。そして、自然の仕組についての理解がすすむことは、自然保護の大切さへの理解が深まっていくことにつながるだろう」


★詳細はこちら↓
山の自然学



小泉武栄(こいずみ・たけえい)著
1998.01.20. 第一刷
岩波新書(新赤版)541


★★★☆☆ 難易度
★★★★★ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★★ 保存版
★★★★☆ 編集、構成
★★★★★ 総合評価
 

◆《感銘・共感・知見の一文》◆

○「【残雪】は温帯高山にしかない」 P60
日本の高山にはよく残雪があるか、世界的にみると珍しい光景。中緯度にあり、風が強く、多雪である山地に限られている。ヨーロッパアルプスに残雪がないわけではないがごく稀である。
熱帯高山では、気温の日変化はあるが、季節変化に乏しく、夜間に雪が降っても昼間解け残雪はできない。高緯度地域でも、積雪が少ないこと、夏の白夜が斜面の向きにかかわらず日が当たることで、初夏に残雪があっても夏には消滅する。

◎「地質と植物分布」
◆【蛇紋岩植物】 ★キーワード=【かんらん岩】【蛇紋岩】【蛇紋岩植物】 P48
【かんらん岩】【蛇紋岩】の仲間で、 強いアルカリ性の土壌をつくりやすい。(Mgが多く、Caが少ない)
【ウスユキソウ】【ヒメコザクラ】【カトウハコベ】【ナンブイヌナズナ】など特異な植物が分布する。
【夕張岳】【アポイ岳】【至仏山】【谷川岳】【白馬岳】【北岳】などにも分布。分布地は【蛇紋岩地】【かんらん岩地】に限られるという共通性があり、【蛇紋岩植物】と呼ぶ。
★【ウスユキソウ】:ヨーロッパには【エーデルワイス】1種しかないのに対して、日本には12種もあり、こちらが本場。
★【ウスユキソウ】の大半は【蛇紋岩地域】に分布し、山ごと固有種に分化している。例外は【ヒメウスユキソウ】で木曽駒ケ岳の【花崗岩地域】に生育するが、理由は解明されていない。

◆【石灰岩植物】 P143
石灰岩地域では、Caが多すぎる結果、普通の植物は生育できない。
「岩石の種類が異なると風化の仕方が異なり、それによって生ずる斜面堆積物や地形の違いが植物の違いをもたらす。これによってはじめて、納得のいく説明が可能になったのではないかと思う」と著者。

◆「地質が決める植物群落」 P138
・白馬岳の高山帯では、【コマクサ】【タカネスミレ】の群落があれば ⇒ 【流紋岩石地域】
・【オヤマノエンドウ】【トウヤクリンドウ】【ムカゴトラノオ】【タカネシオガマ】【イワスゲ】のお花畑⇒ 【砂岩・頁岩地域】
・鈴ヶ岳の山頂部や北斜面では、【イワウメ】【クロマメノキ】【コメバツガザクラ】【ガンコウラン】などの【風衝矮低木群落】があれば ⇒ 【花崗斑岩】の分布と一致する。
★斜面や気候条件は同じでも、地質により植物群落や植比率に違いが現れる。

◆【縞枯れ現象】 ★キーワード=【縞枯れ現象】【岩塊斜面】 P119
亜高山帯の針葉樹の一部が帯状に枯れ、白く縞を生じる。時間の経過とともに帯は上昇していく。
その原因について、“土地条件”を考慮していないことを不満とする著者の説がある。針葉樹林の林床が、【岩塊斜面】という共通性があり、この条件でない場所で【縞枯れ現象】は起きていない。斜面下の樹木が枯れることで、日光、風が入り土壌が乾燥し、樹木は枯れ始める。そして影響は次々と上へと波及する。しかし、林床には幼樹があり、再び成長していく。【縞枯れ現象】の移動速さは、平均1.7m/年程度。
★【岩塊斜面】には、針葉樹林が成立、同じ山地の普通の土壌では【ブナ林】が成立している。

◎「氾濫、洪水、土石流などの森林破壊が後継樹存続のキッカケとなる樹種」
【ケショウヤナギ】P166
【ケショウヤナギ】は、洪水がないと【ハルニレ】【サワグルミ】【ドロノキ】からなる森林へ移行。さらに遷移が進むと【シラビソ】【ウラジロモミ】に変わっていく。
【ケショウヤナギ】は隔離分布する特徴があり、オホーツク海北沿岸を本拠に、十勝、日高地方の上流と上高地に分布。低温と時々氾濫する礫質の広い河川がないと分布しない。
★堤防などで梓川の氾濫を防ぐと、【ケショウヤナギ】【ハルニレ】などからなる森林が滅びでしまう。

【シオジ】【サワグルミ】 ★キーワード=【渓畔林】 P168
奥多摩【三頭山】の秋川源流にある山。氾濫や土石流による森林破壊が、森林の更新をしている例。
沢筋の林は【渓畔林】と呼ばれ、【シオジ】【サワグルミ】など成長の早い陽樹から構成されるが、年月とともに他の樹種が成長し、林床が暗くなり後継樹が育たない。ここで、土石流などで沢筋の木の大半が流されることで、他の木に先駆け発芽する【シオジ】【サワグルミ】が後継樹を残すことができる。
★【渓畔林】の植物にとって【土石流】は、存続のキッカケ、チャンスであり、敵ではない。

■《基本用語》■

【垂直分布帯】P44
日本アルプスを例にとると
・【常緑広葉樹林帯】:海抜600mくらいまで【カシ】【シイ】など。
・【落葉広葉樹林帯】:次に、1600mくらいまでが【ブナ】【ミズナラ】を代表。【山地帯】【ブナ帯】とも呼ぶ。
・【針葉樹林帯】:その上が、【シラビソ】【オオシラビソ】【コメツガ】などので【亜高山帯】と呼ぶ。
・【森林限界】 :その【亜高山帯】の上限。
・【高山帯】:【森林限界】より上で【ハイマツ】が優先するため【ハイマツ帯】とも呼ぶ。
★【垂直分布帯】は、高緯度ほど低下するが、日本の【森林限界】は、本来の高度よりだいぶ低い。
日本アルプスの【森林限界】が、2500^2600mに対し、同緯度の黄河源流地域では3750^4000m、ロッキー山脈では3700m、と1000mも高い。

【カール】【U字谷】【ルントヘッカー】【モレーン】P151
・【カール】
山岳氷河が谷頭を浸食してできた馬蹄形の窪み。【薬師岳】のカール群、【木曽駒ケ岳】の千畳敷カール、【穂高岳】の涸沢カールなど。
・【U字谷】
カールから氷河が溢れると、下方の谷を浸食しながら下っていく。氷河が融けると【U字谷】と呼ばれる底が平らで、両側が切り立った谷が現れる。チロル地方に発達したものがあり、【穂高岳】の横尾谷【木曽駒ケ岳】東面の黒川の谷が典型的。
・【ルントヘッカー】
氷河による侵食にもかかわらず、大きく残った硬い岩の部分。【白馬岳】の葱平(ねぶかびら)カールの赤い大岩が代表的。
・【モレーン】
氷河とともに運ばれ、融けたところで堆積物として残された丘。【槍ヶ岳】の大槍モレーン、【南アルプス】藪沢モレーンが代表的。いずれも、日本では規模が小さい。


◆《ポイントひろい読み BEST 5》◆
ポイントとなる山のなかから5山を選びました。

◎【礼文島】 ★キーワード=【レリック(残存)】【ツンドラ植物群】 P2
高山植物の宝庫で海岸より生育。【レブンアツモリソウ】【レブンコザクラ】【レブンウスユキソウ】など固有種も多い。【ミヤマオダマキ】【チシマフウロ】【エゾタカネツメクサ】【イワベンケイ】【シコタンソウ】【チングルマ】【チョウノスケソウ】など、日本アルプスの高山帯で見慣れた植物もあり、海抜200mとは思えない。
『なぜ、この島にこれほど高山植物があるのか?なぜ、海抜0mから高山植物が展開するのか?』
★日本最北だからでは理由にならない。もっと北のサハリン、カムチャッカには森林がある。
ロシアでも高地か北極海沿岸まで行かなければこのような植物は見られない。緯度が近い【大雪山】では、海抜1600mを超えないと見られない。
★【礼文島】の高山植物は、高山帯や北極海沿岸の植物群の“飛び地”になっている。
著者は、氷河時代の植物群がそのまま生き残ったものと考えてる。⇒このような現象を【レリック(残存)】と呼ぶ。2万年前の最終氷河時には、海面が100mも低く、ロシア沿岸、サハリン、北海道と地続きで、北方から【ツンドラ植物群】が移動してきた。

・【礼文島】は、最も早く離島化が起ったため、氷河時代の【ツンドラ植物群】がよく保存され、海岸から高山植物が展開する特異な島となったと考えられる。
・【利尻島】も似た状況で、海抜400mには広大な【ハイマツ低木林】がある。これも離島化が早かったためであろう。
・【焼尻島】は、離島化が遅れ、本島より植物が侵入したため、高山植物は全滅し、【イチイ】と北海道本島で見られる野草しかない。
・【東ヌプカウシヌプリ】:離島に限らず、氷河時代の動植物が生き延びているところはあるが、生態系全体が残されている例は珍しい。

◎【大雪山】 ★キーワード=【風衝草原】【風衝矮低木群落】【雪田植物群落】【ソリフラクション】 P15 
1500^1600m付近に【森林限界】がある。日本アルプスより1000m低いため、高山帯の領域が広く、山頂部がなだらかなことから、わが国最大の高山帯となる。冬場は、日本海からの強風で、吹きさらしと吹きだまりを生じ、多様性に富む植物群落をもたらす。
【風衝草原】⇒強風地の植物群落は、【チョウノスケソウ】【ムカゴトラノオ】【エゾオヤマノエンソウ】など
【風衝矮低木群落】⇒10cm程度の低い木からなる【イワウメ】【チシマツガザクラ】【ミネズオウ】【イワヒゲ】など
【雪田植物群落】⇒風下側の残雪周りは、【エゾコザクラ】【エゾノツガザクラ】【アオノツガザクラ】など
【火山荒原の植物群落】⇒火山礫、火山砂など移動しやすい地表には【コマクサ】【タカネスミレ】【ホソバウルップソウ】【ウスユキトウイレン】など
砂礫が安定したところには、【コメバツガザクラ】【ミネズオウ】の群落がみられる。

★植生と風食の循環
表土の流動【ソリフラクション】により火山砂礫が移動⇒ふるい分けにより礫が集積し安定⇒礫地を覆い【コメバツガザクラ】【ミネズオウ】が育成⇒植被が大きくなると風食により剥ぎ取られる⇒そこで再び【ソリフラクション】による砂礫の移動がはじまる。
★【永久凍土】
大雪山では、山頂部や稜線部で強風で雪が吹き払われ、寒気が直に土壌を凍結させる。調査では20mの厚さにもなる。凍土が地下水の浸透を妨げるので、地下水位が上昇し、湿潤地を好む【ヤナギ】が混在する。大雪山の高山帯は、北極圏のツンドラとよく似ていて、凍結と融解で生じる【構造土】が発達。

◎【白神山地】 ★キーワード=【第三紀周北極植物群】【大陸氷河】【地滑り地形】 P33
【ブナ】はかって“橅”と書き、役に立たない木の代名詞。このことが幸いし、戦前はどこにもブナ林があったが、敗戦でサハリンから針葉樹が輸入されなくなり、【ブナ】も製紙に利用される。全土で“ブナ退治”といわれたほど伐採された。
日本のほか、ヨーロッパとアメリカ東部の3地域に分布。もともとは一つの植物群。【第三紀周北極植物群】で、第三期に北極周辺に生育していた。日本以外のブナ林は、【大陸氷河】の影響で、植物相が単純化し貧弱なものとなった。大陸氷河が発達しなかった日本では、【第三紀周北極植物群】は原形を保ち、東北地方では【モクレン】【トチノキ】など原始的植物が多く含まれる。森そのものが“生き残り”といえる存在で、東北【ブナ林】の価値である。

★【白神山地】【真昼山地】など広い面積を有する【ブナ林】に【地滑り地形】という共通項がある。
【第三紀層】は、かって海底に堆積した地層のため、多雪地であることも重なり、地滑りが起りやすい。この【地滑り地形】に特徴的な植物が繁茂する。崖の部分は不安定で地下水が浸み出て水分が多い。
地滑り地から下方は、【ジュウモンジシダ】【オシダ】などシダ類、崖や下の緩斜面は【サワグルミ】【ミズキ】【トチ】【ケヤキ】が繁茂。

○【富士山】 ★キーワード=【古富士火山】【新富士火山】【スコリア(火山砂礫)】 P104
富士火山の歴史は、【古富士火山】で約8万年前、【新富士火山】の活動は5,000^6,000年前から1,000前まで、火山の歴史としては新しい火山。【新富士火山】の活動は、比較的穏やかで、溶岩と【スコリア(火山砂礫)】を交互に噴出したため、3,776mの高さを形成。まだ1000年しか経過していないことと、地層に水が浸透しやすいため、浸食は進んでいない。植物の分布、動物相も未熟で、【ハイマツ】はなく【ライチョウ】もいない。・逆に他の山で見られないものに【ツガ】【ヒノキ】【モミ】【ハリモミ】を主体とする【青木ヶ原樹海】がある。本来【ブナ】【ミズナラ】が生育するのに、溶岩土壌で貧栄養のため【針葉樹林】がようやく成立している。
・五合目にいたるスバルラインを登ると【シラビソ】【オオシラビソ】の【亜高山帯】の針葉樹に次いで、【ハイマツ】がないため低木化した【カラマツ】ゾーンになる。日本で、この【カラマツ】ゾーンは富士山にしかない。
・【森林限界】付近に、中腹を一周する【お中道(ちゅうどう)】がある。現在は【大沢崩】のため一周できないが、かっては行者の修行道。

★【森林限界】は、南東側(1300m)、以外は2400mほど。南東側は1707年(宝永4年)の宝永山の影響で、今なお荒原が広がる。
【スコリア原】は、水分が乏しく、高温になるため【オンダデ】【コタヌキラン】【フジハタザオ】【ムラサキモメンヅル】【イワオウギ】【ミヤマオトコヨモギ】【イタドリ】などに限られる。

◎【南アルプス】 ★キーワード=【四万十層群】 P179
我が国屈指の美しさを誇る【南アルプス】の【お花畑】。ここには2つのタイプの【お花畑】がある。
稜線付近の丈の低い乾性のお花畑【風衝草原】、と森林限界以下の風下の斜面のやや湿性の丈の高いお花畑【高茎草原】。
【風衝草原】には、【オヤマノエンドウ】【ミヤマキンバイ】【ヨツバシオガマ】【トウヤクリンドウ】【チシマギキョウ】と【ヒゲハリスゲ】【イワスゲ】や【ミヤマハナゴケ】【ムシゴケ】など地被類が優先。
【高茎草原】には、【コバイケイソウ】【イブキトラノオ】【ミヤマキンポウゲ】【シナノキンバイ】【ハクサンイチゲ】【クルマユリ】【クロユリ】【ウサギギク】など大きく美しい植物が多い。
・【北岳】は、高山植物の名所で、【キタダケソウ】は北岳特産、【ミヤマハナショウブ】は日本固有種、【シコタンソウ】など崖地の植物群落も発達。
【お花畑】がわが国屈指の理由は地質。一部花崗岩の山を除き、【南アルプス】は【四万十層群】の堆積岩と変成岩より成り立つため。表土の安定と通気性及び保水性がよく、高山植物には理想的土壌。【北アルプス】に比べ、土壌条件がいいことが、植生密度にあらわれる。

★【残雪】の残る時期も微妙で、森林を成立させない程度に遅くまで残り、【高茎草原】の生育を阻害しない程度で消えるというバランス下にある。
【残雪】が残りにくいことは、【アオノツガザクラ】【チングルマ】【ショウジョウスゲ】などの【雪田植物群】、【イワイチョウ】【サクラソウ類】などの【湿性草原】はほとんどないことになる。
★【太平洋プレート】が【ユーラシアプレート】に潜り込む際生じた【付加体】が、【南アルプス】や【北岳】を構成する。

◆《ワンポイントひろい読み BEST 7》◆
気になるワンポイントのある7山を選びました。

○【至仏山】P50
尾瀬ケ原の西に位置し、1億7,000万年前の古い【蛇紋岩】【かんらん岩】からなる。この山の【蛇紋岩】は、風化すると粘土をつくりやすいため、湿原が発達しやすい。
山頂北の高天ヶ原は植物の宝庫で、【オゼソウ】【ホソバヒナウスユキソウ】などの【蛇紋岩植物】をはじめ【イブキジャコウソウ】【タカネトウウチソウ】【アオノツガザクラ】などが分布。
山ノ鼻にかけては、【蛇紋岩】のゴロゴロする急斜面、【ハイマツ群落】が斜面を覆い、【森林限界】は1650mまで低下している。(本来この緯度では、2400m前後、700^800mも低い)

○【浅間山】P112
1783年【天明の大噴火】で、鬼押し出しの溶岩噴出。成層圏へ達する噴煙は【小氷期】の寒冷化の一因ともいわれる。
北及び東側の斜面は裸地と化したが200年後の現在、東側で【カラマツ】【アカマツ】【ミズナラ】の林ができている。北側の1360m以上では【クロマメノキ】【ガンコウラン】【ミネズオウ】【コメススキ】など高山植物がまばらに生育する程度。
鬼押し出しの溶岩流は、植被を遅らせたが、【ガンコウラン】【ミネズオウ】などの高山植物と、これ覆うように【アカマツ】【シラカンバ】などが侵入しつつあり、回復が早まってきている。

○【八ヶ岳】 ★キーワード=【縞枯れ現象】 P116
長さ20kmに及ぶ山並、最高峰の【赤岳】は2899m、八ヶ岳はすべてが火山、1万年ほど前に起きた【横岳】の活動が最後。
【高山植物】に固有種が多く【横岳】に集中【ウルップソウ】【チシマアマナ】【ツクモグサ】【ヤツガタケキンポウゲ】など。
冬の降雪量が少ないため、【雪田植物群落】【湿性草原】を欠くかわりに、【ヤツガタケトウヒ】【ヒメマツハダ】【ヒメバラモミ】など八ヶ岳でしか見られない【トウヒ属】が生き残る。北八峰が岳では、【縞枯れ現象】が見られる。

○【白山】P198
高山植物が豊富で、【ハクサンイチゲ】【ハクサンシャクナゲ】【ハクサンコザクラ】など白山がつく植物が30種ほどあり、【お花畑】の見事なこともわが国有数。我が国の高山帯をもつ山の西限で、【ハイマツ】【イワギキョウ】【ゴゼンタチバナ】【ハクサンフウロ】などの西の分布限界がこの山。
もう一つの見どころは、【構造土】。山頂部中心に広く分布する。地表面の砂礫が凍結と融解の繰り返しによりできる地表の模様で、亀甲状、縞状、舌状、土饅頭状のものなどがある。
白山では、残雪跡地にできるうろこ状の【植被階状土】と強風地にできる【ソリフラクションローブ】の2タイプがある。

○【伊吹山】P204
“伊吹”の名がつく植物が多い⇒【イブキトラノオ】【イブキジャコウソウ】【イブキシモツケ】【イブキボウフウ】きりがないほど。【カイズカイブキ】も伊吹山に多い【イブキビャクシン】の園芸種。
高等植物1200種以上生育しているといわれ、藤原岳とともに植物の宝庫。
江戸時代から薬草研究の場となったことが“伊吹”のつく植物が多い原因。山頂付近には亜高山性の植物が多い⇒【オタカラコウ】【ハクサンフウロ】【イブキフウロ】【イブキトラノイオ】などと、セリ科の植物も多い⇒【イブキボウフウ】【イブキゼリ】【オオハナウド】など。露出した石灰岩の割れ目には、石灰岩植物がみられる⇒【イチョウシダ】【ヒメフウロ】など。

◎【石鎚山】P210
四国山脈の最高峰で、広大なブナ林を擁する。
【亜高山針葉樹林帯】の南限であり西限でもある。海抜1600^1900mの高度に分布する針葉樹林はここから南あるいは西にはない。九州の高山や屋久島は、高度帯が欠如し、山の性格が大きく違う。
【日本海型のブナ林】:太平洋側ではブナの比率が低く、他の樹種が混生している特徴があるが、ここでは比率が高くまた大木が多い。雪が少なく林床が乾燥することが【大平洋型のブナ林】で、後継樹がうまく育っていない理由の一つ。
★氷期に寒冷化、乾燥化した時、【ブナ】をはじめ南下し避難した植物が【石鎚山】の豊かな植物相をつくり上げた。

○【屋久島】P221
【宮之浦岳】豪快な岩場、岩峰をつくる。
山をつくる花崗岩は、1500万年ほど前【フィリピン海プレート】が【ユーラシアプレート】の下へ沈み込みを始めた際に生じたマグマが地下で冷え、盛り上がってきたもの。
中腹に屋久杉の森がある。標高からはブナ林にあたるが南限は大隅半島であるため、針葉樹の林となる⇒【ヤクスギ】【モミ】【ツガ】
★ブナ林が欠如。亜高山帯の針葉樹林も欠如しているため、ヤクスギが森林限界をつくる。

◆《チェックポイント BEST 3》◆

○「【湿原】の形成」P57
多接地帯であることが必要。雪解け水が少しずつ供給され【ミズゴケ】など湿性植物が生育し湿原ができる。湿原では植物が分解せずに堆積し泥炭ができる。泥炭は“酸性が強く”生育できる植物が限られ、湿原が継続しやすくなる。
 【尾瀬ケ原】の場合
・以前の解説書には、「湖が時間の経過とともに浅くなり、植物が生え湿原へ移行する」と説明していたが、これは正しくないと著者。湿原になる前、【尾瀬ケ原】は蛇行して川が流れる【沖積低地】。8000年ほど前、雪が増え水はけが悪い環境下で泥炭が堆積しはじめる。北方系の【ツルコケモモ】【ヤチヤナギ】【モウセンゴケ】などが継続して生育。水はけのよい川沿いには【シラカンバ】【ダケカンバ】【ミズナラ】が帯状に生育【拠水林】。

 【戦場ヶ原】の乾燥化
近年、乾燥化と【ズミ】の侵入が問題化。【ズミ】は蒸散による湿原の乾燥化の一因。樹高も5^6mに達し、湿原が見えにくくなるとともに、良質な【高層湿原】は【戦場ヶ原】全体の半分程度。

◎【構造土】 ★キーワード=【構造土】 P200
【構造土】:周氷河地形の一つ。地表の砂礫が凍結と融解の繰り返しでふるい分けられできた地面の模様。安山岩質の火山に発達しやすく、白山、大雪山、御岳山など。

◆【亀甲土】
砂礫がふるい分けられ、直径1^2mの亀甲状になる。1年のある時期干上がる湖の底で水分が多いと、凍結と融解が促進され砂礫がふるい分けられると考えられる。
◆【条線土】
火山灰の多い斜面で火山礫と泥がふるい分けられ、10^20cm間隔の縦縞ができる。流紋岩は細かく風化して、【条線土】をつくりやすく、そこに【コマクサ】【タカネスミレ】の生育する。著者の調査では、表面の1^2cmは移動するが、下の層はほとんど動かないため、下の層まで根を張れば固定できる。
また【ウルップソウ】【オヤマソバ】は地下茎を強く張ることで適応している。
◆【アースハンモック】
【芝塚】とも呼ばれ、スゲ類などで覆われた土饅頭状になる、30センチほどの高さの高まりが多数できる。冬に裸地が先に凍結し、植物の下の凍結していない土壌を押し上げるために盛り上がる。火山灰が多い土壌に生じやすい。
◆【階段状構造土】または【階段土】
花崗岩質の高山に生じやすい。ふるい分けにより生じた階段が発達する。

◎「九州の山々」219
◆火山の集中している地域
【桜島大噴火】1914年(大正3年)、噴出した溶岩は大隅半島と桜島を地続きにした。
・【浅間山】1783年(天明の大噴火)の10倍(20億m3)の溶岩で記録が残る噴火では最大級。
・【タンボラ火山】1815年、噴出した溶岩は【桜島大噴火】の75倍。
【姶良火山】2万2000年前、噴出した溶岩は史上最大といわれる【タンボラ山】の3倍以上。シラス台地をつくり、噴火の結果内部が陥没して大カルデラ(鹿児島湾)をつくる。
【阿蘇火山】約8万年前、さらに【姶良火山】を上回る噴火を起こし、火砕流は九州の2/3を覆ったといわれる。30万年前から巨大噴火を4回ほど繰り返してきたが、この噴火で巨大カルデラができたとされる。
【鬼界カルデラ】6300年前、屋久島北方、硫黄島付近にできたカルデラ。本体は海底で中央火口丘の【硫黄島】【竹島】が海上にある。この火山灰は風化し赤くなることから【アカホヤ火山灰】と呼ばれ、九州で厚く堆積したため、縄文文化は一度滅びたとさえいわれる。

◆亜高山帯の針葉樹林帯がない。
垂直分布
【照葉樹林帯】700以下、【アカガシ】【ウラジロガシ】など。★人間活動で急速に減少、神社、寺境内にわずかに残る。
【中間温帯林】700^1000m、【モミ】【ツガ】など。
【冷温帯林】1000m以上、【ブナ】【ミズナラ】【イタヤカエデ】など。☆大隅半島の高隈山がブナの南限
化石では2万2000前に針葉樹林帯は存在していたことが分かっている。いつから不在になったのかがよく分かっていない。
可能性が高いのは縄文時代前期の温暖期。現在より平均気温が2℃ほど高いため、垂直分布も400m高いと推定される。九州本土に海抜1800m以上の山はないため、ブナ帯の上限に達していない。縄文前期の温暖期に針葉樹林はブナ林により排除されたのであろう。こうすると、【石鎚山】は海抜1982mで針葉樹林が残ったことも説明できる。



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Dr.kusaichi

Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

植物の本、昆虫、小動物、菌類からウィルスまでいろいろ登場予定。
科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
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◆フィールドスコープ
フィールドスコープの標準タイプ。軽量、防水タイプ。 グループ観察会などで、便利な1台。

Nikon ニコン III-A /フィールドスコープ 






◆ポケットルーペ
小型、軽量、高解像度。 レンズ有効径が大きく見やすい優れもの。

ニコン ニューポケットタイプルーペ 20D バーガンディ [Nikon 2・3・5x loupe 2・3・5倍 携帯 ...


 
 
 
◆コンパクトカメラ
小型、軽量、高解像度。 植物、小動物などズームマクロで雄しべ雌しべもきれいに撮れる使いやすいカメラ
 
光学10.7倍ズームを搭載、約5コマ/秒の高速連写を実現リコー CX2 シルバー 写真 




  


◆トレッキング用ストック
軽量、撮影時に一脚としてブレ防止にも使えます

 


キザキ カメラ一脚対応トレッキングポール KTE-1005C 【トレッキング用ストック】【smtb-TK】


 


ハイキング用ストック(アルミ製)【在庫切れ】LEKI レキ ULマイクロアンチSLS 1300136 550グリ...


◆【トレッキングシューズ】
軽量、通気性能、履心地


【送料無料】【20%OFF】ゴアテックスCaravan 00104 キャラバン トレッキングシューズ C-4 ブラウン 


★お薦めフィールド図鑑★


◆【声が聞こえる『野鳥図鑑』】
各ページにドットコードがあり、サウンドリーダーで再生。生きいきした鳥の声を聞けます。 地鳴、さえずりも別に再生できる優れもの。



声が聞こえる!野鳥図鑑増補改訂版





◆【声が聞こえる『カエル』】
『野鳥図鑑』に続く『カエル』良くこれだけの収録ができたと驚く内容です。 野鳥と同じサウンドリーダーで再生可能の優れもの。



声が聞こえる!カエルハンドブック





◆【日本帰化植物写真図鑑】
雑草と呼ばれる草本類の“外来種600種”が掲載され野外観察に心強い1冊。



日本帰化植物写真図鑑改訂





★樹木図鑑(携帯用ポケットガイド)

◆【庭木・街の木】ポケットガイド④
身近な庭木275種、413品種を収録。 フィールドで使いやすい。



庭木・街の木





◆【野山の樹木】ポケットガイド⑨
日本に自生する樹木372種400品種を収録。 庭木・街の木の姉妹版。



野山の樹木





★野草図鑑(携帯用ポケットガイド)

◆【街・里の野草】ポケットガイド②
四季の普通にみられる野草295種を紹介。 写真と解説がコンパクトで分かりやすい。



街・里の野草





◆【野山の野草】ポケットガイド⑩
野、山、水辺のよく見かける野草391種を紹介。 街・里の野草の姉妹版。



野山の野草





★昆虫図鑑

◆【野や庭の昆虫】
植物との関係から昆虫を表示している点が特徴。 庭、野山、作物、畑などに分けられ検索しやすい。



野や庭の昆虫





◆【昆虫の集まる花ハンドブック】
昆虫により花粉が運ばれる虫媒花を中心に142種の受粉方法、仕組みを解説。 気軽に観察と推理が楽しめる。



昆虫の集まる花ハンドブック





★こんな図鑑もありますョ!

◆【イモムシハンドブック】
チョウ類91種、ガ類135種、の合わせて226種を掲載。 幼虫、さなぎ、成虫の写真、ここまでの資料に感激。



イモムシハンドブック





◆【冬虫夏草ハンドブック】
漢方薬でよく知られる冬虫夏草。 基本から見分けまで見ているだけでも楽しい図鑑。



冬虫夏草ハンドブック




◆【ベリーハンドブック】
ツツジ科とバラ科の“ベリー”と呼ばれる実を付ける植物の図鑑。 女性に人気のベリー、こんなにたくさんあった!



ベリーハンドブック




★お薦めフィールド図鑑
                          (季節編)★


◆【日本の桜】
サクラ、栽培品種から、モモ、リンゴまでわかりやすく分類。 写真が鮮明で桜の季節に、必携の図鑑。



日本の桜増補改訂版




◆【日本のスミレ】 
山渓ハンディ図鑑⑥
可憐で人気のスミレ。しかし地域種あり、交雑種あり外来種もある。 検索表でまず見当を付けることから見分けるスミレ専門の図鑑。



日本のスミレ増補改訂




◆【日本の野菊】 
山渓ハンディ図鑑⑪
『検索チャート』『見分け方コラム』で野菊を見分ける手法を詳しく解説。 どこで見分けるかのポイントがつかめる。



日本の野菊




★じっくり調べる図鑑★
各部の詳細写真が多く分かりやすい。

◆【樹に咲く花】離弁花①

樹に咲く花(離弁花 1)改訂第3版


◆【樹に咲く花】離弁花②

樹に咲く花(離弁花 2)2版


◆【樹に咲く花】合弁花他③

樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)改訂第3版


◆【野に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑①


野に咲く花


◆【山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑②


山に咲く花4版


◆【高山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑⑧


高山に咲く花


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