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『血液型の科学』キーワードは【血液型物資】。『血液型性格判断』に科学のメスを入れた本。非科学的と考えていたが認識を改めさせられた一冊。

■血液型の科学■


「血液型で人の性格が決まるはずはない」「単なるシャレ」と否定的だった私は、本書で血液型に対する考え方が一変した。科学者の多くも否定的な『血液型性格論』。【血液型物資】を知ることで、見え方、考え方が一変します。

一般の『血液型と性格』に関する意見が、本書にいくつか挙げられている。
◆新聞社説
「ABO血液型は輸血にしか役立たない。これで人間を見るための判断材料には全くならない」
◆学者や知識人の多くは、
「血液型と性格に関係があるというのは根拠がない。科学的に扱われるのは問題だ」
◆血液学専門の学者の多くは
「血液型診断は医学的、科学的に根拠は全くない」
「血球についている抗原成分の違いが、性格形成に影響するとは考えにくい」
◆遺伝学者
「血液型は両親から単純に遺伝で伝わってくるので、血液型で性格が規定されるわけではない」
など、どれも否定的である。

著者である藤田氏は、以下のことが原因と分析している。
【血液型物質】は赤血球の表面についている単なる物質、と考えているからではないか?
【血液型物質】は、誕生とともに全身に存在する物質、という理解がないためではないか?
【血液型】という名称に惑わされて【血液型物質】の認識ができていないことが原因ではないか?

そこで、「血液型について科学的な解説を試み、本質を探究したもの」として本書が登場することになる。
「今まで、血液型について科学的な解説を試みた本は、なかったと思う。
【血液型物質】を探求することは、ヒトを理解する糸口となる可能性があると考えられる」と著者。

科学的根拠があるとは、考えていなかった私にとって、過去の感染症など人類史を通し、いろいろ歴史を垣間見るとともに、【血液型】がどう係わってきたのか、なぜ地域により【血液型】の偏りがあるのかなど、大変興味深く読めるとともに説得力ある解説が刺激的であった。科学的根拠もないまま、否定的だった自分の方こそ非科学的ではないかと、気づかされた一冊。


★詳細はこちら↓
血液型の科学



藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)著
2010.02.10. 初版第一刷
祥伝社新書 189

★★★☆☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★☆☆ 保存版
★★★★☆ 編集、構成
★★★★★ 総合評価
 

◆《感銘・共感・知見の一文》◆

◎【ABO式血液型物質】 ★キーワード=【糖鎖(とうさ)】 P3
【血液型】という名称であるが、単に血球に付着した物質ではない。たんぱく質ではなく、【糖鎖】であり、細胞、内分泌液など体内のあらゆる場所に存在している。
特に、胃で100%、腸で50%以上に認められる物質。
★ 【血液型物質】は、他の動物や細菌までもがもっている。地球上のすべての生命体が共有する遺伝物質。

◎「血液型の違いと免疫力」P4
血液型の違いは、免疫力の違いに直結している。そのため、生まれながらにして、血液型による罹りやすい病気と罹りにくい病気がある。さらに、血液型によって、好みの食べ物、体に合う食べ物が違ってくる。
血液型によって、過去から受け継いできた遺伝的な体質に違いがあることから生じる。
★ このように考えると、血液型によりある程度性格が規制されるのは、むしろ当然ではないだろうか。

◎「ABO血液型物質と微生物」 ★キーワード=【遺伝子移入】 P17 
東北大の斎藤忠雄教授は、多くの微生物が【ABO血液型物質】に特異的に吸着していることを明らかにした。著者は、腸内細菌がもつA型物質やB型物質が体内にもぐりこむことで、【遺伝子移入】が起ったのではないかと考える。
胃や腸に【血液型物質】が多く分布していることから考えても理解できる。さらに腸は、【免疫機能】を司る役割をしている。
進化の過程からも、最初にできた臓器。腸の周りに【脳】が生まれて以来“腸・脳相関”として結びつき、【脳】の情報は腸管粘膜の中の神経細胞に伝達される。★【腸】は【第二の脳】といわれる由縁。
★ 腸に【血液型物質】が多く【脳】と密接なつながりがあるということは、血液型が体質や性格にも影響していると考える方が妥当ではないか。

◎「ABO式血液型を決定する遺伝子」 ★キーワード=【遺伝子連鎖】P51
第9番染色体の長腕バンド34に存在 ⇒【9q34】。この遺伝子と近い位置にある他の遺伝子は、互いに影響を受けやすいことが分かっている。
例)乳がんになりやすくなる遺伝子が、【9q34】の付近にある。⇒血液型と乳がんとは関連があるかもしれないことになる。
例)【ドーパミン】を【ノルアドレナリン】に変える酵素の遺伝子も【9q34】の付近にある。⇒血液型がストレス、精神状態、性格に関係している可能性あり。
★ 血液型が一見無関係と思える遺伝子に影響している可能性が【遺伝子連鎖】の研究から明らかになりつつある。

◆《ポイントひろい読み BEST 5》◆

○「日本人の血液型分布」P28 P54
日本人:A型38%、O型31%、B型22%、AB型 9%。
★ほぼ4:3:2:1の割合。この分布が性格診断に取り入れやすい。
韓国人:A型:33%、O型:27%、B型:27%、AB型:13%
アメリカ白人:O型45%、A型:41%、B型10%、AB型:4%
【O型】が多い中南米:メキシコ人(84%)、グアテマラ(95%)、ボリビア(93%)、ニカラグア(92%)
★この割合では血液型占いをしても、面白くない?
☆ヨーロッパでは、A型、AB型に2種あるため、合計6種類の血液型があることになる。☆世界にはO型にも特殊な血液型はある。

◎「血液型の起源は細菌」P66
【糖】の合成を可能にしたのは【原始生物】、【血液型物質】を最初に合成できたのは【細菌】。
腸の中に100種100兆個に及ぶ細菌が棲み、それぞれ、A型、B型、O型などの【血液物質】をもつ。
★地球上のあらゆる細菌が【ABO血液型物質】をもつようになった。
細菌から藻類、シダ植物へさらに、高等植物にも【ABO血液型物質】は引き継がれた。
★植物に含まれる【血液型物質】は、【O型】【AB型】がほとんど、紅葉するのは【O型】、黄葉するのは【AB型】になる。
動物では、【AB型血液型物質】をもつのは霊長類だけ(※ローランドゴリラ、ニホンザルは、【O型】と【B型】の2種類)。

○「血液型から見た、かかりやすい感染症、かかりにくい感染症」P115
かかりやすい感染症:【A型】がん、生活習慣病【B型】結核、肺炎球菌、サルモネラ菌
【O型】コレラ、ペスト、病原性大腸菌、胃潰瘍【AB型】梅毒、サルモネラ菌
かかりにくい感染症:【A型】ペスト【B型】☆免疫力が強い【O型】梅毒、結核、がん、☆免疫力が強い
【AB型】コレラ
★一般に【A型】【AB型】は伝染病、感染症に弱い。
★免疫力は【O型】が最も強く、次いで【B型】、最も弱いのは【AB型】
「マラリアを媒介する【ハマダラカ】は【O型】を好む」P143
ヒトの汗などに含まれる【血液型物質】を吸血前に判別、【O型関連物質】が、蚊の嗅覚を刺激し誘引しているらしい。
★【O型】の人がマラリアにかかりやすいと予測されるが、そう簡単ではない。【O型】の人はマラリア原虫に抵抗性を示す事実があるため。

◎「民族の血液型構成」 ★キーワード=【HLA】 P154
民族の血液型構成を変えたのは、【梅毒】【マラリア】【コレラ】【天然痘】【ペスト】などの伝染病。
★血液型には【ABO 式】以外にも多数あり、白血球の血液型【HLA】も知られている。
『これら血液型の大部分が、過去に襲った数多くの微生物に対する防御システムとして進化してきたものと考えている』 『生命が生まれて以来38億年、私たちが生き延びてこられたのは、多様な【HLA】分子をもつことができたお蔭と思っている』と著者。

◎「免疫力の70%は腸内細菌によるもの」P162
腸内細菌の餌となる穀類、野菜類、豆類、果物類を積極的に摂ることが必要。
防腐剤、食品添加物は腸内細菌の増殖を抑えるので、ファーストフード、インスタント食品、レトルト食品などのジャンクフードをなるべく摂らないようにすることが大切。

◆《チェックポイント BEST 3》◆
ここは少し上級者編、ひろい読み編が気に入ったら次はこちらで、チョット深読みしてはいかがでしょうか。

○「ABO血液型発見の歴史」P37
1901年、オーストリアの【ランドシュタイナー】が、血液の凝集反応から発見。
最初に血液中から発見されたため【血液型】と命名されたが、その後、内臓、リンパなど全身に分布することがわかる。血液が凝縮した順に、【A型】【B型】凝縮が起らなかったものを【O(ゼロ)型】とした。いつしか“ゼロ”は“オー”に転じた。
「ABO血液型 ⇒ 赤血球表面の糖の分子【糖鎖】の違いで分類」P38
【O型】 には、H型という【糖鎖】がついたもの
【A型】 H型に、【N-アセチルガラクトサミン】という糖がついた【糖鎖】をもつもの
【B型】 H型に、【ガラクトース】という糖がついた【糖鎖】をもつもの
【AB型】 両方の【糖鎖】がついたもの
同時に、自分の持つ【抗原】には【抗体】をもたず、自分以外の【抗原】に【抗体】をもつ。
したがって、【A型】の人は血清中に【抗A抗体】はもたないが、【抗B抗体】をもつことになる。
【AB型】では、【抗A抗体】【抗B抗体】共にもたず、【O型】では、両方もつことになる。
★以前【O型】の血液はすべての人に輸血できるといわれたが、血清中には【抗A抗体】【抗B抗体】があるため、赤血球の凝集が起ることになる。(現在は、同じ型でしか輸血は行われない)

◎【トランスフェクション】 ★キーワード=【遺伝子移入】【トランスフェクション】【免疫寛容】 P78
大腸菌は種により、A型、B型、O型物質をもつものに分けられる。
人類が進化する以前より腸内に棲み、遺伝子が体内へ潜入し【遺伝子移入】が起ったと考えられる【トランスフェクション】
★【ABO血液型物質】をつくったのは、腸内細菌。そして【免疫寛容】により、自分の【抗原】に対し【抗体】をつくらないようになった。
【ホモ・サピエンス】は10万年ほど前にアフリカで誕生したが、【O型】だったと考えられる。(各地の原住民のほとんどが【O型】)
【A型】は、穀類、糖類、野菜類などを好む細菌に【A型物質】をもつものがいて【トランスフェクション】を起こした結果、モンゴロイドで誕生。(B.C.2.5~1.5万年ころ)
【B型】は、家畜、乳製品を分解する細菌の一部が【トランスフェクション】を起こした結果、インド、ウラル地方で誕生。(B.C.1万年ころ)
【AB型】 ごく最近誕生。1,000年ほど前には【AB型】がいなかったことが、遺骨から読み取れる。

◎「人種、地域による血液型の偏り3つの要因」P87 P146
1.民族性
【B型】 遊牧民族に多い。インド、パキスタン、イラン、ガザフスタンなど。
【A型】 農耕民族に多い。日本、韓国など。
2.他民族との交流
【O型】が圧倒的な中南米で、多民族と交流のあったブラジル、アルゼンチンでは、【O型】40%で【A型】と変わらない。
【AB型】農耕民族と遊牧民族の交流が多かった、韓国、パキスタン、ネパール、ハンガリー、ポーランドなど。
3.その地域に流行した感染症
【O型】が罹りやすい感染症:【コレラ】
ベンガル地方を中心に、紀元前400年ころから流行を繰り返した地方病が、19^20世紀初頭にかけ世界的に流行。
【古典的コレラ】【エルトール型コレラ】ともに【O型】が弱く、【AB型】は非常に強い。
★流行が絶え間なく続いたガンジス川下流では、【O型】の割合が世界中で最も少ない。(【O型】の人が犠牲となる)
【O型】が罹りにくい感染症:【梅毒】
アメリカ大陸の地方病を、コロンブスがヨーロッパへ持ち込み、全世界に拡大。当初の感染力は凄まじく、中でも【AB型】は感染しやすく壊滅的被害を受ける。【O型】は抵抗力があり、【O型】以外の人が淘汰される結果となる。
★アメリカ先住民の90%が【O型】、南北アメリカに住む人のうち、【AB型】の割合は常に2~3%という事実が、これを裏付。
★ヨーロッパに【梅毒】が持ち込まれた結果、ここでも【O型】優位の人口構成となる。



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日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
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科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
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