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【人類】だけが【ヒト科】なのは、人類は特別だから?【シラミ】から人類の分化が読み取れるとは!気楽に『人類進化の700万年』の旅に出発。

■人類進化の700万年■

遺伝子情報が1%しか違わない【人類】と【チンパンジー】を同種として【ホモ属】に含める研究者もいる。【ヒト科】に【人類】だけを入れたのは、“人類は特別”という思想が背景にあったからかも知れない。
現生人は、複数の枝分かれの中で、生き残った1つの枝にすぎない。“人類は特別”ではないとは、なかなか認識できないこと、抵抗あることなのだろうか?

最近のニュースに、【ネアンデルタール人】のゲノム解析から【現生人類】と僅かに混血していた新聞記事がある。以前話題の、『シャニダール洞窟の花粉』では、遺骨周辺の大量の花粉から、“死者へ花を手向けた”と解釈され、人間的な優しさを感じたが、その後、“花粉はネズミが巣作りのため集めてものではないか”とする解釈にとって代わる。

インドネシアで【ホモ・フローレンシス】、エチオピアで全身骨格としては最古(440万年前)の【アルディー】が発見されたなど、時折ニュースになる。また、本書に「追記」として、【チンパンジー】の化石が初めて発見されたことが記されている。
「ヒトの起源」の大枠がわかっていると、これら断片的なニュースが何を意味しているかが良く見えてきて、より興味あるニュースとして楽しめる。

人類進化の大筋をつかむにはもってこいの新書
「【人類の系統樹】の数は研究者の数ほどある」といわれ ソレゾレの研究者に、ソレゾレの説がある。こうした分野を俯瞰する時、サイエンスライターの手による解説が読みやすい。ある意味公平な“ルポ”であるところがいい。

「ソファーで寝転んで、私たちがたどってきた700万年の歴史を紐解く旅に出ましょう。」
「何がわかっていて、何がわからないないのか。現代科学がとらえている人類進化の全体像をお伝えしたいと心がけた。」と著者。
寝転んでが気楽でいい! 発掘や発見の苦労も、分析や同定など難しそうなことも、また著者がかなりの資料と取材を積み上げまとめたことなど知らぬが仏、ポテトチップスでもつまみながら楽しめる新書です。

追記。
イラストの初期人類やルーシーなどの表情は、まるで“思索”“思想”しているようで、この新書ここだけ違和感を覚えてしまう。(PCアドレスでも持っていそう?)

本書は、以前に出版された新書ですが、時折読み返したりする記事が多いので今回“お薦めの書籍”にしています。

★詳細はこちら↓
人類進化の700万年


三井誠(みつい・まこと)著
2005.09.20.第一刷
講談社現代新書 1805

★★★☆☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★☆☆ 保存版
★★★★☆ 編集、構成
★★★★★ 総合評価
 

◆《感銘・共感・知見の一文》◆

◎「ヒトの遺伝子の変異」P216 (★それぞれの時期が時系列で表示してあり分かりやすい)
 【尿酸酸化酵素】
約1500万年前【UOX(尿酸酸化酵素)遺伝子】を失ったことで、尿酸の血中濃度が上がり、過剰になると【痛風】になる。反面、尿酸には【活性酸素】に対し抗酸化作用がある。
★大型類人猿(ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン)は、老化の原因【活性酸素】を抑え、長生きできるようになったらしい。
 【ビタミンC】をつくる酵素の遺伝子を失ったことで、体内で生産ができなくなる。原猿類(キツネザル、ロリス)を除く霊長類は体内生産できない。(ゾウ、モルモットも体内で生産できない)
 【色覚】の復活  ★キーワード=【不等交叉】
魚類、両生類、爬虫類、鳥類は、網膜に4種類の色【赤】【緑】【青】【紫外線】を見分けるセンサーを持つが、恐竜時代、夜行性生活をした哺乳類は、【緑】と【青】のセンサーをつくる遺伝子を失う。【色覚】の退化として今に残る。
現在我々が【青】を感じられるのは、【紫外線】のセンサーをつくる遺伝子が変異、その後、【赤】の遺伝子にも変異が生じ、【緑】を感じる遺伝子ができたらしい。この結果、【赤】を持つ個体と【緑】を持つ個体が生じ、【不等交叉】が起り、同じ染色体上に【赤】と【緑】が載ったことで【色覚】を回復できたようだ。
★新世界ザル(クモザル、リスザル)、イヌ、ネコはこの【色覚】は回復していない。

◎「【シラミ】から読み解く人類史」 ★キーワード=【ミトコンドリア】 P243
【人類】と【チンパンジー】の先祖が枝分かれする際、共通だった【シラミ】も寄生先と歩調を合わせ分化。寄生先に密着し、離れると数日しか生きられない。そして寄生先がほぼ決まっている特徴に着目し人類史を読み解く。
それぞれの【ミトコンドリア】の遺伝情報を解析し、約560万年前に分化した可能性を割り出した。

◎「哺乳綱霊長目ヒト科」P254
遺伝情報から、【チンパンジー】は【ゴリラ】より人類に近いのに、伝統的分類では【大型類人猿】のグループに入る。最近、【ヒト科】に【ゴリラ】【チンパンジー】を入れる研究者も増えている。この場合【人類】とは【ヒト属】のことを指す。遺伝子情報が1%しか違わない【人類】と【チンパンジー】を同種として【ホモ属】に含める研究者もいる。
★分類とはもともとない境界を、人間が勝手につくりだしたものである。(T.ホワイト教授)
★【ヒト科】に【人類】だけを入れたのは、“人類は特別”という思想が背景にあったからかも知れない。


◆《ポイントひろい読み BEST 3》◆

○「最古の人類化石【サヘラントロプス・チャデンシス】愛称:【トゥマイ】」P18
700^600万年前のもので、2002年、チャドで発見された。
ほぼ完全な頭部の骨から、脳の大きさは 360^370㏄ 【チンパンジー】と変わりない。
☆【犬歯の縮小】などの特徴が認められ、わずかだが“人類の側”に踏み出した。
☆【直立2足歩行】腰、足の骨が見つからないため、頭の骨から見極めている。
(首の骨が頭骨に入り込む【大後頭孔】の位置は、その動物の姿勢と関連が指摘されていることによる)

○「1974年エチオピアで発見された【アウストラロピテクス・アファレンシス】愛称:【ルーシー】」P25
320万年前にエチオピアで生きていた女性。(全身の4割の骨が見つかる。第3大臼歯(親知らず)の状態から20歳前後と推定)脳は400㏄弱、身長1m、足に比べ手が長いのが特徴。
★【大腿骨に対する上腕骨の長さ比】チンパンジー:100%、ヒト(現代人):70%、ルーシー:85%と両者の中間値。
タンザニア:ラエトリの足跡(350万年前の痕跡化石)に、【土踏まず】があることから、2足歩行が裏付けられる。

○「肉食が脳を大きくした?」P72
脳を支えたエネルギーは、高カロリーな食料と考えられる。
★100グラム当たりのカロリー比較。肉:200kcal、果実:50^100kcal、葉:10^20kcal。いかに肉が高カロリーかわかる。
石器を手に入れ効率的な肉食をはじめたことが、【出アフリカ】をもたらしたという説は有力視されている。【出アフリカ】の時期が180万年前という根拠は、西アジアのグルジアにある化石の年代による。

◆《チェックポイント BEST 3》◆
ここは少し上級者編、ひろい読み編が気に入ったら次はこちらで、チョット深読みしてはいかがでしょうか。

○「【イーストサイドストーリ】理論の問題点」P31 P34
800万年前の【大地溝帯】活動で、紅海沿岸からタンザニアにかけ山が発達。西からの湿度を含む気流が遮られ、アフリカ東部は森林が減少しサバンナが発達。樹上生活から地上での2足歩行の生活へ移行し進化。西側に残った類人猿はチンパンジーへと進化した。ネーミングのよさもあり、広く知られてきたが、決定的な問題点があることがわかってきた。
問題点①今現在発見されている最古の人類化石【サヘラントロプス】は【大地溝帯】西のチャドで発見。
問題点②大地溝帯の活動による隆起は、動物相を分けるほどではなく。乾燥化が進むのは300^250万年前以降と考えられている。
★『人類は草原で進化し、2足歩行が誕生した』という、以前の常識が通用しなくなる。
 【アルディピテクス・ラミダス】 440万年前の猿人化石。周辺から産出した動物化石から、草原ではなく森に近い環境が推測される。
 【オロリン・ツゲネンシス】 600^580万年前【アルディピテクス・カダバ】580^520万年前の人類化石からも、森林の動物化石と一緒に見つかる。
◆ 【サヘラントロプス・チャデンシス】 700^600万年前の場合は、湖、草原、林などが混在した環境が推測される。

◎「脳の進化」 ★キーワード=【EQ 】 P64
約700万年前から約400万年の間は、脳の大きさは 500㏄を大きく超えることはなく、現代人の1/3程度で推移。
約240万年前、【ホモ属】の誕生から脳が大きくなり、180万年前に 800㏄ を超え【ホモ・エレクトス】が誕生。
★【EQ 】体に対する脳の大きさの指数のグラフがある。(★このグラフ必見です)
【ホモ属】の年代に対する【EQ】の発達が、【アファレンシス】など猿人に比べ増加係数を異にするほど急激に発達したことがわかる。

◎「喉の構造【喉頭】の位置」P141
現生人とチンパンジーの喉の構造に違いがある。現代人は喉頭の位置が下にあり、喉頭の上に空間ができる。声帯から発せられた空気がここで共鳴し、【声】とすることができる。
チンパンジーは、喉頭が高い位置にある。息は鼻へ通じ、食べ物は喉頭の両脇を通過するため、ものを食べながら息ができる。現生人は、食べ物が気管へ入る恐れがある【誤嚥】。
★現生人も、2歳くらいまでは喉頭の位置が高く、ミルクを飲みながら息ができる。



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Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

植物の本、昆虫、小動物、菌類からウィルスまでいろいろ登場予定。
科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
最近話題の本も登場、その他 私の勝手にいろいろ出てきそうです。
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