スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『生物と無生物のあいだ』生命とは?を理解するとっておきの新書。「動的平衡」「ノックアウトマウス」を読めば、生命についての認識が改まること必至。

■生物と無生物のあいだ■

《プロローグより》
『人間は瞬時に、生物と無生物を見分けるけれど、それは生物の何を見ているのでしょうか。』
この問いから始まる本書、ナチュラリストを夢見ていた著者が、ミクロな分子の世界へ、生命の鍵を求めるきっかけとなる。遺伝子ノックアウトにより、パーツを取り除いても、何らかの方法でその欠陥が埋められ、何ら機能不全なく全体が組みあがる。生命のあり方は、パーツが組み合わされてつくられるプラモデルのようなアナロジーでは説明不可能な特性が存在する。

15章から構成され、オムニバス式で読みやすい。生物とは?生命とは?歴史上の科学者の陰影ともいえる知られざる世界を浮き出しながら、各章ごとに問いかける。

文章が解りやすく、しかも、引き込まれるほどの魅力を醸した語り、これほど上手な文章で構成された科学書も稀有。内容もさることながら、その文章力に魅かれ再三読み返してしまう。

★詳細はこちら↓
生物と無生物のあいだ



福岡伸一(ふくおか・しんいち)著
2007.05.20.第一刷
講談社現代新書1891

★★★★☆ 難易度
★★★★★ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★☆ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価
 
◆《感銘・共感・知見の一文》◆

◎「動的平衡」P157
【ルドルフ・シェーンハイマー】の実験を通し、分子レベルで絶えず入れ替わる生命体のシステムに驚きを覚えながらも、“ダイナミックな流れ”と称している。重窒素をトレーサーとして、体内のたんぱく質への取り込みを追いかけた結果、与えられた重窒素は、瞬く間にあらゆる組織に現れる。
ということは、多数のアミノ酸が、一から紡ぎ合わされて、新たなたんぱく質がつくられていることになる。しかも、体重が増加していないということは、同量のたんぱく質が分解され、排出されていることになる。さらに、アミノ酸さえ細かく分解され、各アミノ酸を再構築していることが分かる。
★絶え間なく分解され入れ替わるのは、アミノ酸よりさらに下位の分子レベルということになる。

◎「秩序は守られるために、絶え間なく壊されなければならない」P166
著者はここに【シュレディンガー】の予言を重ねている。
【エントロピー増大の法則】に抗する唯一の方法は、システム耐久性と構造を強化することではなく、その仕組み自体を流れの中に置くこと、流れこそが、生物の内部に発生するエントロピーを排出する機能を担っている。

◎「【ノックアウトマウス】の欠落に対する補完」 ★キーワード=【ノックアウトマウス】P262
あるたんぱく質の役割を知るため、そのタンパク質の欠如したノックアウトマウスをつくり、異常を調べる。そして、ネズミのGP2遺伝子が破壊されたGP2ノックアウトマウスが誕生した。
予想では、膵臓細胞で膜の異常が展開しているはずであったが、あらゆる意味でまったく正常であった。動的平衡がその途上で欠落を補完し、分化、発生プログラムを何とか成し遂げていた。生命という動的平衡が、GP2の欠落をある時点以降、見事に埋め合わせた結果である。
正常さは、欠落に対するさまざまな応答と適応の連鎖、リアクションの帰趨によってつくりだされた。

◆《ポイントひろい読み BEST 5》◆

◎「【PCR】:ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」 ★キーワード=【PCR】 P75
PCRマシンは、温度を上げたり下げたりするだけの装置にすぎないが、DNAは連鎖反応的に増幅を繰り返す。1サイクル数分、10サイクル後に2の10乗、20サイクル後に100万倍となる、これ革命的技術。単に複製だけではなく、DNAの中から特定の部分だけを抜き出し、増幅することを可能にしたことに意味がある。
このPCRは、【キャリー・マリス】がドライブデート中にひらめき、これ一発でノーベル賞受賞、しかも、サーファーという。

◎「生命とは何か:【シュレディンガー】著」 ★キーワード=【『生命とは何か』】 P131
DNAらせん構造解明でノーベル賞受賞の3者ともに、生命の謎を探求するきっかけとなった書物。【アインシュタイン】と並ぶ20世紀初頭の理論物理の天才、隠遁後、一般向け公開講座に講義録として“What is Life?”刊行。
「生命現象は、物理と化学で説明しうるはずである」として『生命とは何か=What is Life?』を著した。
この中で重要な2つの問いをする。
①遺伝子の本体は非周期性結晶ではないか。
②なぜ原子はそんなに小さいのか?
そして、②についての解析が次の章へ続く、何とも憎いほどの構成、続けて次の章へ読み進むほかはない!

◎「生命とは動的平衡にある流れである」P167
自己複製されるものとして定義された生命は、【 シェーンハイマー】の発見した『生命の動的な状態』という概念をさらに拡張して再定義している。

◎「内部の内部は外部である=もう一つの内部がある理由」P201
細胞内でつくりだした たんぱく質を細胞外へ安全に出す方法として、もう一つの内部をつくった。
細胞皮膜を開閉すれば、外部にさらされる危険がある。細胞内にもう一つの内部をつくったのが、小胞体である。

◎「機械の時間、生物の時間」P271
【機械に時間はない】原理的にはどの部分からでもつくることができ、完成後、部品を抜き取ったり、交換できる。
そこには2度とやり直せない1回生というものがない。機械の内部には、折りたたまれて開くことのできない時間というものがない。
【生物には時間がある】その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度折りたたまれれば2度と解くことのできないものとしての生物はある。

◆《チェックポイント BEST 5》◆
ここは少し上級者編、ひろい読み編が気に入ったら次はこちらで、チョット深読みしてはいかがでしょうか。

◎「X線解析⇒【ロザリンド・フランクリン】」 ★キーワード=【X線解析】 P108
専門は、X線結晶学、フランクリンが過ごした20世紀前半は、X線結晶学が立ち上がる黎明期。未知の物質にX線照射、波長の短いX線が分子構造に応じて散乱、これを数学的に解析、分子構造の手掛かりを得る。研究テーマは、X線によるDNA結晶解析。
帰納的に構造解明を目指した彼女には、野心も気負いもなく、写真撮影に成功し、数学的解析を一人進めた。このX線写真の一部を、彼女を助手とみなしていた【ウィルキンズ】により、【ワトソン】が見る機会が生じたようで、とっさに“らせん構造”をイメージしたという逸話がある。

○「DNAの結晶構造は“C2空間群”である」 ★キーワード=【C2空間群】 P128
【フランクリン】の年次報告書(1952年)にあるDNA に関する彼女のデータをクリックが【ペルーツ】を通じ覗き見する。これを見れば、らせん構造の直径、1巻の長さ塩基の配置など解読できる。さらに、「DNAの結晶構造は【C2空間群】である」の記述はクリックの『プリペアード・マインド』に納まる。
【クリック】は、ヘモグロビンの結晶構造が“C2空間群”をとり、点対照的に配置されているということに精通していた。

◎「ルートn法則」 ★キーワード=【ルートn法則】 P138~142
『われわれの身体は、原子に比べて、なぜ、そんなに大きくなければならないのか?』
【シュレディンガー】の問を、我々の身体から見てと、読み変えている。
すべての秩序ある現象は、膨大な原子が一緒になって行動するとき“平均”的な振る舞いとして顕在化。これは統計学的な法則に従い、この法則の制度は、原子の数が増えるほど増大する。平均から離れて、例外的な振る舞いをする原子の頻度は、平方根の法則【ルートn法則】に従う。
例)100個の原子から成り立つ生命体があれば、ルート100=10個の原子が平均から外れた振舞をする。(誤差率10/100=10%)
次に、100万個の原子の場合は、ルート100万=1000、誤差率は1000/100万=0.1%となり格段に下がる。
実際には、何億もの原子、分子が参画している。
★生命体が、原子に比べてそんなに大きくなければならない理由がここにある。

○「エントロピー増大の法則」 ★キーワード=【エントロピー増大の法則】 P147
エントロピーとは乱雑さ(ランダムさ)を表す尺度、すべての物理学的プロセスは、物質の拡散が均一なランダム状態に達するように、エントロピー最大の方向へ動き、達して終わる。
 
○「負のエントロピー」 ★キーワード=【負のエントロピー】 P149
【シュレディンガー】は、生命が【エントロピー増大の法則】に抗して、秩序を構築できる方法【負のエントロピー】の概念を提示。エントロピーが、“ランダムさ”の尺度であれば、その逆、つまり“秩序”が【負のエントロピー】となる。生命体は、たえずエントロピーを増大、つまり死に近づいていく傾向がある。
★生き続けていく唯一の方法は、環境から【負のエントロピー】(秩序)を取り入れること、“食べること”により取り入れている。




☆☆☆ ブログランキング参加中 ☆☆☆
良かったと感じた方・参考になった方、
是非クリックして投票ください!

ここをクリック↓





にほんブログ村 科学ブログ 自然科学へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

カテゴリ

☆★ 目次です! ★☆
こちらから ご覧ください ↓


プロフィール

Dr.kusaichi

Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

植物の本、昆虫、小動物、菌類からウィルスまでいろいろ登場予定。
科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
最近話題の本も登場、その他 私の勝手にいろいろ出てきそうです。
気軽に楽しんでいただけると幸いです。

検索フォーム
最新記事
リンク
Dr.kusaichi お薦めGOODS




★お薦めフィールドグッズ★

◆双眼鏡
バードウォッチングから樹の花など自然観察に最適。星空観察にも向いています。 明るく自然な視界、本格防水、メガネを掛けたままでも使いやすいお勧め品。

◆送料無料◆【新品】 ニコン 8倍双眼鏡 モナークIII 8×42D CF





◆双眼鏡
バードウォッチングから樹の花など自然観察に最適。防水タイプ。 ポケットに入る小型軽量タイプ。

★15時迄の代引注文は即日発送★ビクセン 双眼鏡 ニューアペックス HR 10×28 完全防水 (ケース...





◆ネイチャースコープ
気軽に携帯して、マイクロウォッチング、ニコンのカメラでそのまま撮影も可能。 野外観察が可能の優れもの、子供でも使える軽量、防水タイプ。

【ネイチャースコープ『ファーブル』ミニタイプ】
[メーカー取寄せ]ニコン ファーブルミニ 顕微鏡 ネイチャースコープ [Nikon NATURESCOPE FABREM...





◆フィールドスコープ
フィールドスコープの標準タイプ。軽量、防水タイプ。 グループ観察会などで、便利な1台。

Nikon ニコン III-A /フィールドスコープ 






◆ポケットルーペ
小型、軽量、高解像度。 レンズ有効径が大きく見やすい優れもの。

ニコン ニューポケットタイプルーペ 20D バーガンディ [Nikon 2・3・5x loupe 2・3・5倍 携帯 ...


 
 
 
◆コンパクトカメラ
小型、軽量、高解像度。 植物、小動物などズームマクロで雄しべ雌しべもきれいに撮れる使いやすいカメラ
 
光学10.7倍ズームを搭載、約5コマ/秒の高速連写を実現リコー CX2 シルバー 写真 




  


◆トレッキング用ストック
軽量、撮影時に一脚としてブレ防止にも使えます

 


キザキ カメラ一脚対応トレッキングポール KTE-1005C 【トレッキング用ストック】【smtb-TK】


 


ハイキング用ストック(アルミ製)【在庫切れ】LEKI レキ ULマイクロアンチSLS 1300136 550グリ...


◆【トレッキングシューズ】
軽量、通気性能、履心地


【送料無料】【20%OFF】ゴアテックスCaravan 00104 キャラバン トレッキングシューズ C-4 ブラウン 


★お薦めフィールド図鑑★


◆【声が聞こえる『野鳥図鑑』】
各ページにドットコードがあり、サウンドリーダーで再生。生きいきした鳥の声を聞けます。 地鳴、さえずりも別に再生できる優れもの。



声が聞こえる!野鳥図鑑増補改訂版





◆【声が聞こえる『カエル』】
『野鳥図鑑』に続く『カエル』良くこれだけの収録ができたと驚く内容です。 野鳥と同じサウンドリーダーで再生可能の優れもの。



声が聞こえる!カエルハンドブック





◆【日本帰化植物写真図鑑】
雑草と呼ばれる草本類の“外来種600種”が掲載され野外観察に心強い1冊。



日本帰化植物写真図鑑改訂





★樹木図鑑(携帯用ポケットガイド)

◆【庭木・街の木】ポケットガイド④
身近な庭木275種、413品種を収録。 フィールドで使いやすい。



庭木・街の木





◆【野山の樹木】ポケットガイド⑨
日本に自生する樹木372種400品種を収録。 庭木・街の木の姉妹版。



野山の樹木





★野草図鑑(携帯用ポケットガイド)

◆【街・里の野草】ポケットガイド②
四季の普通にみられる野草295種を紹介。 写真と解説がコンパクトで分かりやすい。



街・里の野草





◆【野山の野草】ポケットガイド⑩
野、山、水辺のよく見かける野草391種を紹介。 街・里の野草の姉妹版。



野山の野草





★昆虫図鑑

◆【野や庭の昆虫】
植物との関係から昆虫を表示している点が特徴。 庭、野山、作物、畑などに分けられ検索しやすい。



野や庭の昆虫





◆【昆虫の集まる花ハンドブック】
昆虫により花粉が運ばれる虫媒花を中心に142種の受粉方法、仕組みを解説。 気軽に観察と推理が楽しめる。



昆虫の集まる花ハンドブック





★こんな図鑑もありますョ!

◆【イモムシハンドブック】
チョウ類91種、ガ類135種、の合わせて226種を掲載。 幼虫、さなぎ、成虫の写真、ここまでの資料に感激。



イモムシハンドブック





◆【冬虫夏草ハンドブック】
漢方薬でよく知られる冬虫夏草。 基本から見分けまで見ているだけでも楽しい図鑑。



冬虫夏草ハンドブック




◆【ベリーハンドブック】
ツツジ科とバラ科の“ベリー”と呼ばれる実を付ける植物の図鑑。 女性に人気のベリー、こんなにたくさんあった!



ベリーハンドブック




★お薦めフィールド図鑑
                          (季節編)★


◆【日本の桜】
サクラ、栽培品種から、モモ、リンゴまでわかりやすく分類。 写真が鮮明で桜の季節に、必携の図鑑。



日本の桜増補改訂版




◆【日本のスミレ】 
山渓ハンディ図鑑⑥
可憐で人気のスミレ。しかし地域種あり、交雑種あり外来種もある。 検索表でまず見当を付けることから見分けるスミレ専門の図鑑。



日本のスミレ増補改訂




◆【日本の野菊】 
山渓ハンディ図鑑⑪
『検索チャート』『見分け方コラム』で野菊を見分ける手法を詳しく解説。 どこで見分けるかのポイントがつかめる。



日本の野菊




★じっくり調べる図鑑★
各部の詳細写真が多く分かりやすい。

◆【樹に咲く花】離弁花①

樹に咲く花(離弁花 1)改訂第3版


◆【樹に咲く花】離弁花②

樹に咲く花(離弁花 2)2版


◆【樹に咲く花】合弁花他③

樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)改訂第3版


◆【野に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑①


野に咲く花


◆【山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑②


山に咲く花4版


◆【高山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑⑧


高山に咲く花


最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
管理画面へ
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。