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『動的平衡2』エッセイでも読む心地の生命科学談。バッハやフェルメールの作品に“動的な美”を見つけ生命のありようになぞらえる。白眉の一冊。

■動的平衡 2■


本書の一番の読みどころは、なんと“まえがき”。
ダビンチ、伊藤若冲、熊田千佳慕、エッシャー、勅使河原三郎、そしてフェルメールまで登場する。共通するのは、時間の流れであり、連綿と続く変化。動的な世界の一瞬をとらえた作品は、どれも“動的な美”が宿る。『世界は不変ではなく不断の動きの中にある。それは生命に似ている』《まえがきにかえて》より

読み終えて再び“まえがき”を読み返す。やはり白眉の20ページ!生物学者の眼を通して解説されると、見覚えのある作品に新たな発見がある。視点が違うというよりは、もともとその作品に内在していた“動的な美”を見つけることができたと表現した方が適切に感じる。

続く本論に、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」が登場する。こんどは、遺伝子の振る舞いをバッハの音符になぞらえる。グレン・グールドのデビューCDは、当時センセーショナルな演奏で話題になった。そして最晩年に同じ曲を再録している。テンポが全く違う2つの録音。しかし、どちらもグールドの演奏でありバッハの作品。
 ←クリックするとグールドのピアノ演奏始まります!

著者の視点と感性を通して芸術の世界、生命の世界に接する楽しさがある。
そこに共通するのは“動的な美”
文章表現も会話的で読みやすい。それに、なんと言っても文章が上手い。
エッセイでも読む感じ。お薦めです。



★詳細はこちら↓

『動的平衡2』
福岡伸一(ふくおか・しんいち)著
2011.12.07. 第一刷
株式会社 木楽舎



★★★☆☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★☆ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価





◆ 感銘・共感・知見の一文 ◆

◎「『生物と無生物の間』で考えたこと」 ★Keyword=【動的平衡】 P41
「生命現象を特徴づけるものは自己複製だけでなく、むしろ合成と分解を繰り返しつつ一定の恒常性を維持するあり方【動的平衡】にあるのではないか」
「生命現象や進化は、ダーウィニズムの【適者生存】論だけでは説明できない原理によっても制御されているのではないか」と考える著者が導き出したのが【動的平衡】。
◆ 関連blog記事 ⇒ ◆『生物と無生物のあいだ』

◎「【ゲノム】はプログラムではない?」P49
バッハの譜面には、速度や強弱の指示がない。演奏楽器の指示さえない作品がある。自由さに満ち、即興性に富んでいる。多くの部分が奏者に委ねられる。
・これを【ゲノム】に重ねて解説している。
「遺伝子の集合体である【ゲノム】は、プログラムでも指示書でもない」
「遺伝子は、発現の強さ、関連性を、環境との相互作用にのみ委ねる」
・遺伝子は楽譜であり、置かれた環境により、スイッチをON/OFFし、強弱を調節している。体のどこかにスイッチがあり、それぞれ独自の適応をしているという仮説が考えられた。
★さまざまに改良された『犬』。しかし、遺伝子的にはほとんど同じで、発現の違いを説明でしきれない。この違いは遺伝子のON/OFFのタイミングと強弱ではないか?

◎【エピジェネティックス:epigenetics】 ★Keyword=【エピジェネティックス】 P206
・一般的な遺伝【ジュネティックス】の外側で生じる遺伝現象で【遺伝子】が活性するタイミングを制御する。これにより発現に差が生じる。『epi』は「追加」「付帯」「後」という意味の前置詞。
☆【遺伝子】は楽譜であり、そこに書かれた音符の奏で方で曲想も違ってくる。『ゴールドベルク変奏曲』のように!
・「ヒト」と「チンパンジー」の【ゲノム】の違いは僅か2%。ここに「ヒト」となりうる【遺伝子】があるのかといえばそうではなく、違いのある2%の【遺伝子】を入れ換えても「ヒト」にはなりえない。
・著者は、【遺伝子】のスイッチON/OFFのタイミングの差と推測する。【遺伝子】は情報であり、実際に作用をするのはタンパク質。このタンパク質が作用をもたらすタイミングの差ということになる。
 成熟タイミングの遅れとしては【ネオテニー】がある。子供の特徴を残したまま成熟することで、行動や学習の期間が長くなり、有利な方向へ進化することができるとする仮説。



◆ ポイントひろい読み BEST 3 ◆

◎「【万能細胞】を有している植物細胞」 ★Keyword=【万能細胞】【ES細胞】【iPS細胞】 P63
・【万能細胞】の表現は適切ではない。【ES細胞】【iPS細胞】は多分化能をもつ幹細胞ではあるが、体そのものはつくれない。個体をつくれるのは【受精卵】だけである。
・これに対し、植物細胞はどの細胞も【万能細胞】。これを応用したのが、挿し木であり、接ぎ木である。
★植物の細胞が万能性を有しているのは、動くことができない代わりに、いつでも体の一部からコピーを再生できる能力を保持した進化の帰納と著者の指摘がある。

◎「【生物多様性】が支える【動的平衡】」P78
・地球上で、物質やエネルギーは絶え間なく結びつきを変え循環している。この担い手は生物であり、あらゆる場所で、あらゆる方法で絶え間なく活動していることが地球環境を持続可能なものにしている。
・生物はこのネットワークの結節点に位置しているため、この結節点が多いほど、多岐にわたるほど強靭であるとともに柔軟で可変的であり、復元力を備えている。
★地球環境の【動的平衡】を保持し、維持するために【生物多様性】が必要であり、【動的平衡】の強靭さと回復力の大きさが支えとなる。

◎「素晴らしい言葉【センス・オブ・ワンダー】」P70
・日本にR.カーソンを紹介した上遠恵子さんの翻訳が素晴らしい。
『The Sense of Wonder』 ⇔ 『神秘さや不思議さに目をみはる感性』
・生命と私たちの関係を知る原点であり【生物多様性】の重要さを考える基盤となる。
・『私たちの多くは大人になる前に澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬するべきものへの直感力を鈍らせ、あるいはまったく失ってしまいます。~世界中の子供に、生涯消えることのない“センス・オブ・ワンダー”を授けてほしい』R.カーソン
■上遠恵子 (かみとお・けいこ)
東京都出身のエッセイスト/翻訳家/レイチェル・カーソン日本協会理事長



◆ チェックポイント BEST 3 ◆

◎「200兆の腸内細菌」 ★Keyword=【細菌叢:コロニー】 P127
・ヒトの細胞が60兆個あるといわれるに対し、腸内細菌は推定100~200兆個もある。
・体細胞の直径が30μmに対し、大腸菌は長さ:数μm、太さ:1μmとかなり小さい。
・腸内細菌は、大腸菌、乳酸菌などが主で、消化管内に【細菌叢:コロニー】を形成し、消化を助けるとともに、外部からの細菌の侵入を防ぐ働きがある。住んでいる風土により腸内細菌の種類も異なり、日本人は海藻を分解することができる腸内細菌が共生しているという。
★海外旅行などで、おなかの調子が悪くなるのは、当地の食材と腸内細菌の相性が合わないことも一因。

◎「大腸菌のDNAとヒトのDNA」 P143
大腸菌:4.6×1,000,000 ⇒4.6Mbp(メガベースペア、460万塩基対)
ヒト :3.0×1,000,000,000 ⇒3Gbp(ギガベースペア、30億塩基対)
★本書に「大腸菌をハードディクにたとえ460MB」とあるが、4.6MBで2桁違うのではないだろうか?そうなると「大腸菌の6倍程度の情報量でヒトができることになる」の部分は、600倍になる?

◎「【プラスミド】の【水平伝播】」 ★Keyword=【プラスミド】【水平伝播】
・大腸菌は細胞の大きさから【ゲノム】は1つしかないが【プラスミド】という核外遺伝子をもつ。3,000塩基対ほどの情報量で、1細胞に10個程収めることができる。
・【ゲノム】が親から子への垂直伝播するのに対し【プラスミド】は細胞分裂とは関わりなく、別の菌へ【水平伝播】することができることが特徴。
耐性遺伝子情報などは【プラスミド】により瞬く間に広がる。
■【プラスミド:plasmid 】 ☆正式名称はプラスミドDNA
細菌や酵母の細胞質内に存在する核以外の細胞質中のDNA分子の総称。自律増殖し、娘細胞へ伝えられる核外遺伝子。遺伝子工学では、プラスミドに特定遺伝子を組み込みベクターとして利用する。
■【ベクター:vector(運び屋)】
DNA断片を大腸菌内に運ぶプラスミドのこと。遺伝子組換え技術に用いられる。



GoldbergVariations 「ゴールドベルク変奏曲」 GoldbergVariations

私も一時、グールドのバッハに心酔していた。グールドの弾くバッハのCDは逃さず聴いた。「ゴールドベルク変奏曲」もいいが、なんといっても「6つのパルティータ」が気に入っている。

そのCDのなかに、驚かされた1枚がある。グールドのCDには、本人のうなり声や鼻歌が紛れ込んで録音されたものがいくつかある。3声の曲を聴いていたとき、どこからともなく鼻歌が聞こえてくる。2声に比べ、3声の演奏は真ん中の声部を右手と左手に分けて演奏することが加わるため格段にややこしく難しくなる。

このややこしい3声の曲の途中でも鼻歌を歌っている。気になったので、耳を凝らして聞いてみると3声のどれとも異なる別のフレーズ。ナント即興で、もう一つ声部を追加して口ずさんでいた。4声?…ウッー…エッー…驚き!…ヒェー…タマゲタ!…いまだに忘れられない。頭のなかはどうなっているのだろうか?タダタダ呆然としてしまった…衝撃的発見だった。

1. 3. 聴き比べ

■「ゴールドベルク変奏曲」お薦め版
1. グレン・グールド 1955 演奏録音
2. グレン・グールド 1981 演奏録音
3. シトコヴェツキー編曲・演奏の弦楽三重奏版
ジャズ編曲
4. ジョン・ ルイスが即興でアレンジ
5. ジャック・ ルーシェトリオ



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日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

植物の本、昆虫、小動物、菌類からウィルスまでいろいろ登場予定。
科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
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