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『樹の中の虫の不思議な生活』樹の中で生活する穿孔性昆虫の生活史が良く分かる。菌類やバクテリアと共生する驚きの世界がある。

■樹の中の虫の不思議な生活■
(穿孔性昆虫研究への招待)


樹の中で生活する昆虫の今まで知られていなかった生活史が良く分かる。
カミキリムシからキクイムシ、キバチ、クワガタムシも登場する。【マツノザイセンチュウ】を媒介する【マツノマダラカミキリ】やこのところ各地で被害が増えている【ナラ枯れ】をもたらす【カシノナガキクイムシ】の生態について詳しい記述がある。

【穿孔性昆虫】の多様な生態とともに“菌”との共生や【穿孔性昆虫】と【寄生バチ】の関係などが紹介されている。樹のなかの生活が見えてきたと思ったら、またまた複雑な菌類やバクテリアと共生していることがわかってきた。

これら穿孔性昆虫はセルロースやリグニンなど自分では消化できないため、菌類を利用し消化させている。また、病原力のある菌と共生することで健全木の防御システムを打破し寄生しやすい環境をつくり出している。さらに、必要な菌を体の一部につけ目的の樹に接種する昆虫の様子も詳しく書かれている。

しかし、これらの植物を摂食する昆虫は、森林生態系で重要な役割も担う。幹の内部で材を摂食するため害虫と捉えられることが多いが、枯れ木なども分解し土壌に還元していることは、森林内のリサイクルを促進する重要な一面を担う存在でもある。

題名の「樹の中の虫の不思議な生活」は一般向けを意識したようで、副題の「穿孔性昆虫研究への招待」となるといきなり難しそうなイメージが湧いてくる。各解説はそれぞれ専門の研究者が分筆。研究論文の形式で記載されている。一般向けに“翻訳”されてはいないため“学術的”“論文的”で題名の気軽さは影を潜め表紙の装丁にそぐわない。しかし、最近話題になる樹木の病虫害を通して【穿孔性昆虫】の一端を理解するにはコンパクトにまとめらお薦めの書である。



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柴田叡弌(しばた・えいいち)富樫一巳(とがし・かつみ)著
2006.09.20.第一版第一刷
東海大学出版会




★★★★★ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★☆ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価

 



◆ 感銘・共感・知見の一文 ◆

◎【マツノマダラカミキリ:Monochamus alternatus(鞘翅目カミキリムシ科)】P84
・マツ科15種を摂食するヒゲナガカミキリ属の昆虫。成虫は【マツノザイセンチュウ】を伝播し、日本各地で深刻な被害をもたらしている。成虫の餌は生きた若いマツの枝の樹皮で、生きたマツがなくなると飛翔する。これに伴い【マツノザイセンチュウ】を伝播する。
・5^7月に枯れたマツから脱出して、1.5ヵ月、長い個体では6か月もマツ林内に生存する。行動は夜行性。性成熟し枯れ始めたマツに集まると、樹の幹より【モノテルペン】【エタノール】が発生し、これに成虫が誘引される。雌は一度でなく毎日少しずつ産卵する。
★成虫後に摂食しない昆虫は、卵の発生発育が蛹の時期に完了しているが、成虫後に摂食し卵を発育させる昆虫では体のサイズと生涯産卵数に正の相関がある。
・3^4齢で冬眠すると2月中旬頃成虫になるが、1^2齢で冬眠した幼虫は2回目の冬を越し2年がかりで成虫になる。
・餌とするマツの発見能力に優れること、生存率が高いことが【マツノザイセンチュウ病】被害が持続している原因となる。

◎【マツノザイセンチュウ:Bursaphelenchus xylophilus】★Keyword=【キャビテーション】
・媒介昆虫の気管内に入り込み、昆虫とともに移動する。(昆虫体内では増殖しない)
・1900年代の初めに日本国内に侵入。【マツノマダラカミキリ】1頭に20万もの線虫が確認されることもあり、マツ1本の発病に充分である。
・皮層の樹脂道内を移動。【樹脂道】は、芽でつくられる皮層内に形成されるが、形成層からつくられる二次師部には形成されない。皮層が外樹皮になると【樹脂道】は消失するため、【樹脂道】が存在するのは若い枝の内樹皮だけである。
・線虫の移動により、細胞破壊、細胞壁の傷害周皮などが起こり、増殖した線虫が傷害周皮の外へ出てくる。木部柔細胞の脂質を消失し、気体が入ることで仮道管内の水分の流通が阻害される。この結果【キャビテーション】を起こし萎凋症状を呈する。
・材線虫病が発生すると6km/年の速さで広がることが観測されている。

◎【養菌性キクイムシ】★Keyword=【養菌性】【アンブロシア菌】 P161
・鞘翅目ゾウムシ上科に属し、ナガキクイムシ科とキクイムシ科を含むゾウムシ類から派生したと考えられている。樹皮下穿孔性と養菌性の2つに分けられる。
・【穿孔性昆虫】の多くは幼虫が坑道を掘るが、【キクイムシ類】は最初に成虫が坑道を掘り産卵し、幼虫がが成虫となるまで共存する。【養菌性キクイムシ】は、辺材に穿孔し坑道内に繁殖する【アンブロシア菌】と称される糸状菌や酵母を食べる。(キクイムシの幼虫はセルロースやリグニンの分解酵素を持たない)
★真社会性のある種がオーストラリアに存在 ⇒ 子が坑道内にとどまり他の子の世話をし、親は女王として産卵に専念する。半倍数性の一群が確認されている。⇒未受精卵は雄、受精卵は雌になる。雌の体内に精子を貯蔵し、アリ同様に性比をコントロール。
・広葉樹(被子植物)に適応し利用できる樹種の範囲が広い。熱帯雨林で優先的なことも、種の多様性が高い場所での適応に有利。
(注):海水の木材に棲みつく“キクイムシ”は甲殻類ワラジムシの俗称。ホームセンターに並ぶ「キクイムシ殺虫剤」はヒラタキクイムシ(ナガシンクイムシやシバンムシに近縁)に対しての薬剤。【養菌性キクイムシ】はこれらとは別の甲虫。

「養菌方法」★Keyword=【マイカンギア】P168
・【マイカンギア】と呼ばれる共生菌の胞子を貯蔵する器官を口腔や背中、前肢の袋に備えているキクイムシが数種確認されている。【マイカンギア】内では出芽と分裂により繁殖るため胞子のみが観察される。
・【アンブロシア菌】の大多数は不完全菌で、【キクイムシ】の種ごとに主要な菌が異なる。また幼虫の発育とともに菌相が移り変わる。坑道で菌を摂取する位置も種ごとに異なる。
・樹皮下穿孔性のキクイムシの数種は、菌を持つダニと複雑な相互関係が調べられているが、役割は解明されていない。

◎【ブナ科樹木萎凋病】★Keyword=【カイロモン】【集合フェロモン】【マスアタック】P190
・【カシノナガキクイムシ:Platypus quercivorus】は【ブナ科樹木萎凋病】の原因となる【ナラ菌】を媒介する。
繁殖の確認されている樹種はブナ科に限られるが、樹液流出の多いブナなどでは繁殖できない。穿孔と枯死の確認された属は、コナラ属・クリ属・シイ属・マテバシイ属(ブナ属は穿孔のみ確認)
・ナガキクイムシ科に属しほぼ全種が養菌性で、一夫一婦制の【亜社会性昆虫】で、雌雄共同で子育てをする。
・夜明け後に脱出して午前中飛翔する。穿孔から脱出したオスは、新たな寄主に穿孔する。寄主を見つける手掛かりは、嫌気性代謝の結果生じる【エタノール】で【カイロモン】として働く。穿孔後【フェロモン】を発散し異性を誘引する。
・1921年に新種として発表された昆虫で、東南アジアに広く分布。雌の前胸の背の部分に5^10個の円孔からなる【マイカンギア(菌嚢)】がある。雄が寄主を見つけ穿孔し雌と交尾。雌は坑道を延長して産卵する。
穿孔の数は大径木ほど多く、また幹下部ほど多い。
長い坑道を掘る必要があるために大径木を、菌の生育のため含水率の高い幹下部が選ばれる。
・両性に対して【集合フェロモン】を発散することにより【マスアタック】を起こし寄主の抵抗力を破壊する。
■用語■
■フェロモン:同種個体間に作用する生化学的物質
■アレロケミカル:異種個体間で作用する生化学的物質。以下のように細分される。
カイロモン:発信者(不利)、受信者(有利)
アロモン:発信者(有利)、受信者(不利)
シノモン:発信者・受信者(共に有利)
アンタイモン:発信者・受信者(共に不利)

「共生菌」P192
・病原力のある菌と共生することで健全木の防御システムを打破し寄生する。【ナラ菌】などの病原力を利用。(針葉樹ではヤツバキクイムシが、青変菌の病原力を利用し針葉樹の抵抗力を低減させている)
・養菌性キクイムシの餌となる菌類は、セルロース分解能も必要で、病原力ある菌類とともに共生する。【マイカンギア(菌嚢)】は、酵母菌を含む多種の菌が確認されている。これは異なる樹種でも生育できる菌がいれば、繁殖領域を拡大できる可能性が内在すると考えられる。



◆ ポイントひろい読み BEST 5 ◆

○「【穿孔性昆虫】の仲間」P2
鞘翅目(しょうしもく)
【カミキリムシ科】【ゾウムシ科】【キクイムシ科】【ナガキクイムシ科】【タマムシ科】
膜翅目(まくしもく)
【キバチ科】
鱗翅目(りんしもく)
【コウモリガ科】【ボクトウガ科】【メイガ科】【ハマキガ科】【スカシバガ科】
双翅目(そうしもく)
【タマバエ科】

○「分類」P3
摂食部位による分類
・樹皮下昆虫:内樹皮(師部)を摂食【キクイムシ類】
・材穿孔性昆虫【キバチ類】

寄生力による分類
・【一次性昆虫】:健全木、時に衰弱木に寄生⇒食葉性昆虫、吸汁性昆虫【カミキリムシ】
・【二次性昆虫】:健全木に寄生不可、衰弱木だけに寄生。多くがここに含まれる【キクイムシ類】
・【腐生昆虫】:動植物の遺体から養分を摂る⇒シロアリ、クワガタムシなど

○【スギカミキリ:Semanotus japonicus(鞘翅目カミキリムシ科)】★Keyword=【一次性昆虫】【二次性昆虫】 P15
・幼虫はスギ・ヒノキの樹幹を穿孔し材質を低下させる【一次性昆虫】。⇒【はちかみ】被害
・孵化幼虫は、生きているスギの樹幹内で外樹皮から形成層を通過する際に樹脂により死に至る。孵化幼虫が内樹皮に穿孔する早春は、樹脂道の形成が遅いため生存率が高くなる。樹脂の出ない伐採後のスギの場合、2週前に伐採した丸太で86%が成虫になったが、4週前以前に伐採した丸太では成虫になれない。樹脂による死亡はないが、栄養不足(窒素含有が低くなる)により死亡したとみられる。
【スギカミキリ】は【一次性昆虫】であり、【マツノマダラカミキリ】は【二次性昆虫】で樹脂の影響を受けにくい。【スギカミキリ】の産卵数が多いのもこのためで、集中的な分布は、親が脱出した木に産卵する方が生育率が高くなるためと思われる。
・植林後10^20年後のスギ林で高密度になる。理由は、若いスギは外樹皮が未発達で内樹皮が薄く栄養不足、老木では【傷害樹脂道】が広く形成されるため幼虫の死亡率が高くなるため。
・【スギカミキリ】の寄生バチによる死亡率は、生育しているスギでは見られないが、樹勢が弱った伐採木で顕著となる。健全木に産卵することで寄生バチの被害を回避しているといえる。

○【ヒノキカワモグリガ:Epinotia granitalis(ハマキガ科)】★Keyword=【樹脂道】【傷害樹脂道】 P66
・鱗翅目の【穿孔性昆虫】は、コウモリガ科・ハマキガ科・ボクトウガ科・スカシバ科・メイガ科・ヒラタモグリガ科・ハモグリ科・キハダガ科の一部の種で見られる。
・【ヒノキカワモグリガ】の幼虫が穿孔する部分は、幹だけではなく、葉、枝にも及び特異的。スギ・ヒノキ・ヒノキアスナロ・サワラ・コノテガシワ・ニオイヒバ・ネズミサシなどの健全木に穿孔し、材が変色せせるため商品価値が下げる。
・5^7月の1回/年発生し、針葉内に潜り込み葉を枯らす。2齢幼虫は主枝に移動し、内樹皮と形成層を摂食する。3^4齢になるにつれ、針葉⇒分枝基部⇒主枝基部へ穿孔場所を変えながら育つ。穿孔場所を変えることで樹脂による防御作用を避け10カ月近く樹木内で生活する。(【樹脂道】生成は摂食後15日以上要する)
・スギとヒノキで比較すると、スギの方が内樹脂にフェノール・タンニンの量が多く【傷害樹脂道】形成日数も短いため、スギを穿孔した幼虫の生体量は小さい。
・寄生バチ、病原微生物はいくつか指摘されているが、不明な点が多く今後の解明に期待とある。

○【オオゾウムシ:Sipalins gigas】P108
・ゾウムシ上科はゾウムシ科、キクイムシ科など15科からなる鞘翅目のなかの大きなグループ。多くの種はサトウキビ、ヤシ類、バショウなど単子葉類の生きた組織を摂食する。
・【オオゾウムシ】は、マツ類・スギ・ヒノキ・サワラ・モミなど針葉樹、クリ・カシワ・ナラ類・カシ類・ブナ・ニレ・サクラ・ヤナギ類など広範囲の樹種を加害する。貯木場などで材に穴をあける害虫として古くから知られるが、実態はよく解明されていない。
・幼虫は、材を摂食するが、栄養価が低く消化も困難である。【オオゾウムシ】が生息する材は湿っていることから、坑道内に発生する糸状菌を食べている可能性がある。
★【オオゾウムシ】が繁栄する理由は、マツ材線虫病により【オオゾウムシ】の生育に適した枯死木が大量に発生していること、広範囲の樹種に棲みつくこと、産卵期間が長いことがあげられる。



◆ チェックポイント BEST 5 ◆

○「【穿孔性昆虫】の特徴」P8
・【穿孔性昆虫】最大の特徴は、産卵された幹以外には移動することができないこと。チョウの幼虫のように動き回ることができない。
・衰弱木に寄生する【穿孔性昆虫】は衰弱木を探す必要があり予測が困難なこと、健全木に比べ栄養面で劣ること、幼虫の移動が困難なことから、サイズに差に大きな異変が生じる。
★樹木の防衛機構:針葉樹の樹脂により成虫や卵は死んでしまう。
★辺材を利用する【穿孔性昆虫】は微生物と共生し、幼虫は菌により変質した辺材を摂食する。
例1)【キバチ類】⇒【アミロステレウム属菌】
例2)【養菌性キクイムシ】⇒【アンブロシア菌】

◎「針葉樹の防御システム【樹脂道】」★Keyword=【エピセリウム細胞】【カルス】 P30
・生育している針葉樹に寄生昆虫が少ない理由は【樹脂道】から樹脂を滲出するためで、一般に“ヤニ”と呼ばれる物質。主要成分は、多様な【テルペン類】。揮発性の精油(テレビン油)と不揮発性のロジンに大別される。殺虫作用、抗菌作用、摂食阻害作用があり、粘性により侵入生物を封じることで防御している。
■用語■
■傷害樹脂道
ヒノキが傷害を受けると、前年と前々年の年輪内の柔細胞が肥大、分裂して【エピセリウム細胞】に分化し、この細胞間に樹脂が分泌される。2週^1か月後には、【傷害樹脂道】となり樹脂が滲出し樹脂嚢を形成する。
■正常樹脂道
傷害、虫害に関係なく常在する樹脂道で、マツ属でとくに発達している。スギは通常樹脂道は存在しないが、傷害に反応して【傷害樹脂道】を形成する。
■カルス(癒傷組織)
摂食などで形成層が破壊されると、形成層の細胞、内樹皮と木部の柔細胞が分裂して【カルス】を形成する。【カルス】は発達して傷害部分を覆い形成層の連続性を回復する。

◎「【穿孔性昆虫】の天敵:寄生バチ」P124
・寄生バチは最終的に寄主を殺すことから【捕食性寄生】と呼ばれる。寄生する場所から内部寄生性と外部寄生性に分けられる。外部寄生性の場合、雌親は寄主に毒液を注入し麻痺させるが、内部寄生の場合は幼虫がある大きさになるまで生かすことが多い。
・【穿孔性昆虫】の寄生バチの大半は外部寄生である。
★寄生バチの歴史は、原始的なキバチが林内に同居する昆虫に外部寄生したことから始まったとする説がある。
「寄主生息場所への誘因」★Keyword=【フラス(幼虫の排泄物)】【α‐ピネン】【エタノール】 P127
・樹皮下穿孔性のキクイムシ成虫の寄生バチは、寄主の集合フェロモンにより誘引され、キクイムシ幼虫の寄生バチは、キクイムシの摂食でマツから放出される揮発性物質【α‐ピネン】に強く誘引される報告が北米にある。
・国内で使われる誘引トラップは、【α‐ピネン】【エタノール】により【穿孔性昆虫】および捕食性天敵を誘引している。ある程度成長した幼虫に産卵する寄生バチは、寄主の【フラス】が誘因に関係していると考えられる。また食葉性昆虫の寄生バチの場合は、視覚により寄主を見つけている。

○【キバチ】★Keyword=共生菌【アミロステレウム:Amylostereum laevigatum】 P146
・ミツバチ・スズメバチなどの細腰亜目と違い腰にくびれがない広腰亜目に属する。日本に生育する【キバチ亜科】は針葉樹を【ヒラアシキバチ亜科】は広葉樹を加害する。
・主に辺材を摂食するが、辺材は葉・実・形成層に比べ栄養価が少なく分解しにくい。ここでのキーワードは菌との共生である。伐採後2カ月を経過した材での発生は稀で、新鮮な材から共生菌の【アミロステレウム】が高い割合で見つかる。(2カ月以上経過すると共生菌以外の糸状菌が繁殖するため)
・被害はスギ・ヒノキの小口を“星形”に変色する。
【キバチ亜科】
・多くの【キバチ】は担子菌【アミロステレウム】を産卵管の基部にある【菌嚢:マイカンギア】に蓄え、【ミューカス】と呼ばれる粘着物質とともに材内部に産卵する。【キバチ幼虫】は、この菌により変化した材を摂食する説と、菌の酵素によりセルロースやリグンンを分解し消化する説がある。
・【キバチ】は、天敵の寄生バチや寄生性線虫により、7割も死亡している報告がある。寄生バチは共生菌の匂いをたどり【キバチの幼虫】に寄生する。
・共生菌は種ごとに増殖可能な樹種が異なり、健全木の中では1年程度しか生きられない。また、ほかの菌が繁殖していると生育できない。このため【キバチ】は、枯死したての木や倒れたばかりの木に産卵するようになったと思われる。
木材輸出は、生物の移動能力をはるかに超え、天敵とのバランスを崩すため【キバチ】の大発生を起こす。

○「腐朽形態で生育種類が異なる【クワガタムシ】」P216
【褐色腐朽菌】:ツヤハダクワガタ・マダラクワガタ
★リグニンが未分解のため窒素含有量が少なく成長が阻害される。このため、共生微生物や消化酵素がはたらいている可能性が高い。
【白色腐朽菌】:多くのクワガタムシが利用。オオクワガタ・コクワガタ・ノコギリクワガタ・ミヤマクワガタなど。
【軟腐菌】:コルリクワガタ・ニセコルリクワガタ
「木材腐朽菌」P214
・木材腐朽は、腐朽菌の種類により【褐色腐朽】【白色腐朽】【軟腐朽】の3つに分けられる。
【褐色腐朽】は、主成分のセルロース・ヘミセルロースが分解され、リグニンが残るため褐色を呈する。標高の高い針葉樹により多く発生。(サルノコシカケの仲間による場合が多い)
【白色腐朽】は、3つの主成分が分解され白色を呈する。ブナ、クヌギなど広葉樹に多く、褐色腐朽より発生率が高い。(代表はカワラタケ)
【軟腐朽】は、水や湿度の高い土の中で発生する特殊な腐朽で、3つの成分が分解される。
★【褐色腐朽菌】【白色腐朽菌】は担子菌類で、子実体を形成するが、【軟腐菌】は子嚢菌類と不完全菌類。



∥◇∥◇∥ 昆虫と菌類 ∥◇∥◇∥

「穿孔性昆虫」の生活の場は直接目に触れることがないため、よくわからなかった世界。というより今でも良く分からない部分の多い世界である。それに加えて、「共生菌」。これも顕微鏡でのぞく世界で、キノコのような子実体は別にしてこれまた直接見ることが困難な世界。

木材を食料とするには、分解の難しいセルロースやリグニンを分解しないことには養分として摂取できない。ウシやシロアリがバクテリアと共生して、他力にて分解吸収していることはよく知られているが、カミキリムシやキバチ、ゾウムシとなると、どう共生しているのか見当がつかない。本書でも、「今後の研究を待つ」記述にしばしば出逢う。

それにしても【養菌性キクイムシ】は体に【マイカンギア】と呼ばれる共生菌の胞子を貯蔵する器官を備えているなど驚きである。正に“センス・オブ・ワンダー”である。

このところ、クヌギやコナラなど雑木林の樹木に被害が多発している。雑木林を放置したため、大径木が増え、これを起点に大繁殖しているようである。しかし、この昆虫の存在は、以前から知られており、雑木林で大径木は伐採し被害を抑えていた先人の知恵があったと聞く。雑木林の放置とともに、先人たちの知恵も置き去りにしてしまった“ツケ”ではないだろうか。



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Dr.kusaichi

Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

植物の本、昆虫、小動物、菌類からウィルスまでいろいろ登場予定。
科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
最近話題の本も登場、その他 私の勝手にいろいろ出てきそうです。
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