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『銃・病原菌・鉄(下巻)』大陸、民族、作物、家畜から歴史が読み解かれる。人類史を科学の視点て俯瞰する壮大な一冊。

■銃・病原菌・鉄■(下巻)


『大陸ごとに異なる人類史は、そこに住んでいた人の“人種的”な差ではなく、“環境”の差である。地理的偶然と環境的偶然にすぎない』 

野生植物の作物化、野生動物の家畜化、家畜由来の感染症と免疫、文字の誕生と伝播、発明・技術の伝播、大陸の広がる方向、地球上のさまざまな民族の歴史…などなど限がないほどの分野について検証し読み解いていく。壮大な人類史を科学の視点で俯瞰する。

『白人はたくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちには自分たちものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?』
ニューギニアのある政治家が放った質問は、更新世以降の人類史の核心をついていると著者。

 【狩猟採集民】は【文字】を発達させることも取り入れることもしていない。
・・・民族に能力の差があるのだろうか?
【文字】が誕生する背景には、数千年にわたる食糧生産の歴史があった。

 アフリカ大陸で暮らすピグミー族、コイサン族は【狩猟収集民】で、作物、家畜をもたない。
・・・農民としての適性に欠けていたのだろうか?
アフリカ南部には栽培化に適した野生種がほとんどない。作物の原産地はすべて赤道以北である。

「~は何故」「なぜ~なのだろうか」と読み手と一緒に歴史を読み解くところがすばらしく、知らず知らずのうちに引きずり込まれている。
面白く、興味が湧き、蘊蓄豊富。特選の一冊。



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 【書籍】銃・病原菌・鉄 下巻

 【書籍】銃・病原菌・鉄 下巻
価格:1,995円(税込、送料込)

ジャレド・ダイアモンド著
倉骨彰(くらほね・あきら)訳
2000.10.02. 第一刷
株式会社 草思社


★★★☆☆ 難易度
★★★★★ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★★ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価






◆ 感銘・共感・知見の一文 ◆

◎「【文字】の伝播」P15
・【文字】は武器、病原菌とともにヨーロッパ人の海外遠征に付随し世界へ伝播した。しかし【文字】をもたない民族もいる。【狩猟収集民】は【文字】を発達させることも、取り入れることもしていない。なぜであろうか?
・日本・スカンジナビア諸国では、国民のほぼ100%が読み書きができるのに対し、4000年程前に【文字】が誕生したイラクの国民はそうはならない。なぜであろうか?

最古の文字【楔形文字】
・人類史上最古の文字である【楔形文字】はシュメール人により作りだされ、羊の頭数や穀物収穫量の記録に使われていたものが、B.C.3000年頃、収支の記録が進むとともに発達し【文字システム】として誕生した。
・この【文字システム】が別の社会へ伝播する方法は2通りあり「実態の模倣」と「アイデアの模倣」。例えば、ロシアで使われる【キリル文字】は、【ギリシャ文字】と【ヘブライ文字】を基に作り出された「実態の模倣」。【アルファベッド文字】もB.C.2000^1000にシナイ半島周辺で【セム語】を使った人々の間で誕生し、各地で「実態の模倣」が繰り返された。現代的な【アルファベット文字】は、ギリシャ人により母音をあらわす記号をフェニキア人のアルファベッドから取り出している。

【文字】の必要性
・納税記録、国王の布告などで必要な文字を読み書きしたのは官吏で、【農耕】社会に専門の書記を養うゆとりができたことも【文字】発展の一因。
【文字】誕生には、食糧生産の歴史が必要で、食糧生産の起源となった複数の地域で初期の【文字】が登場している。
★★★ 南北方向へ広がるアフリカ大陸、アメリカ大陸では、地形、気候を含めた環境の障壁が農作物や家畜の伝播に影響を及ぼしたが、【文字】の伝播にまで同じような影響を及ぼしている。

◎「科学者が導き出す歴史の変遷」P325
・【歴史】を読み解くとはいっても、再現できない分野であり、因果関係、構成要素が複雑極まりない分野でもある。【歴史】は、過去には人文的な研究対象であったが、科学的な研究対象でもあることが認知されてきた分野である。
・人類史のように因果関係が多岐にわたる分野を解析するためには、広い範囲の研究が必要となる。著者の【J・ダイヤモンド】は、医学部教授であり、生理学者であり、進化生物学者であり、生物地理学者である。これだけ広く研究している学者だからこそ書き下ろせた一冊という感じが強くしてくる。あるいはその逆で、この研究をするために幅広く研究をしてきたといった方が適切の感がある。



◆ ポイントひろい読み BEST 3 ◆

○「オーストラリア大陸が発展しなかった理由」 ★Keyword=【火おこし棒農法】P131
・4万年前、オーストラリア先住民は他の大陸の人々に比べ大きくリードしていた。
最古の磨製石器、最初に柄のついた石斧、舟をつくったオーストラリア先住民が、なぜヨーロッパに征服されたのか?

 ニューギニア
・最終氷河期時代はニューギニアと陸続きで、12,000^8,000年前に海面が上昇し分断されている。陸地続きの時代のニューギニア高地(海抜1200^2700m)は人口も多く灌漑が普及し、5,000年前には開墾され独自に農耕が始まっていた。
・【マラリア】が多いことが高地で農業が始まった理由で、高地の人口密度は高かったが、全体数は少なく起伏の多い土地で小さな集団として分散していた。このため、文化も政治もばらばらで言語も多く、世界に6,000ある言語の1,000がここにあることに驚かされる。

★ヨーロッパ人は【マラリア】など熱帯病に阻まれ、1880年頃の入植者1000人のうち930人が3年以内に死亡している。逆にニューギニア人がユーラシア発の【病原菌】から大きな被害を受けていない理由は、1880年までヨーロッパ人が入植しなかったこと、このころには医学により流行が抑えられたことがあげられる。
・ヨーロッパの農作物や家畜が全く適応できなかったことも、ヨーロッパ人の入植を阻んだ一因。

 オーストラリア
・人間が移り住むとほぼ同時に大型有袋類は絶滅、予測不能な干ばつと豪雨に襲われる大地では農作も起らなかった。唯一栽培化できたのは【マカデミアナッツ】だけである。
・【アボリジニ】は自然条件が悪化すると移動生活を送りながら【狩猟採集】をして生活のエネルギーを抑えることで適応していた。【火おこし棒農法】を発達させ、焼け跡がカンガルーの生育地になることと餌の植物が育つことを利用した。
・金属器を使うこともなく、文字が発達することなく、複雑な集団をつくることもなかった理由は、【狩猟収集民】であったためで、オーストラリアの環境による当然の帰納と著者は分析。
★ここでも先住民の【アボリジニ】はヨーロッパ発の【感染症】で激減、30万人いた【アボリジニ】は1921年に6万人になっている。

○「アフリカ起源の【作物】【家畜】は出現していない」
「赤道以南を原産地とする【作物】が一つもない」P276
アフリカ大陸で暮らす【ピグミー族】【コイサン族】は【狩猟収集民】で、【作物】【家畜】をもたない。
農民として適性に欠けていたのだろうか?理由は、アフリカ南部には栽培化に適した野生種がほとんどなかったことに起因する。
「唯一家畜化できたのは【ホロホロチョウ】」P277
アフリカでは、家畜化されていない動物ばかりなことに気づく。【シマウマ】【ヌー】【サイ】【カバ】【キリン】【アフリカ・スイギュウ】と、例え家畜化できたとしても生産効率の悪い肉食獣である。
赤道以北のアフリカでは、ナイル渓谷で農耕、牧畜が始まっている。さらに早い時期にサハラ地域で作物が生産されていた記録がある。
B.C.9000^B.C.4000当時は今に比べ湿潤で、【ウシ】【ヒツジ】【ヤギ】を飼い【モロコシ】【トウジンビエ】の栽培をしていたらしい。

◎「アフリカの発展がユーラシアより遅かった理由」P294
・更新世末期以降、両大陸の発展速度に差が出た理由は、ユーラシア大陸が東西に広がることに対して、アフリカ大陸は南北に広がること。南北に長い大陸は、地域ごとに気候、生態系、日照、雨量が異なり、【作物】【家畜】が適応できないため拡散が阻まれたことが大きく影響。
★赤道以南の【作物】は、1000年以降に海洋航路を経て伝播したらしい。陸路での伝播はされなかったことも南北に長い大陸での特徴。
★さらに、赤道アフリカの【ツェツェバエ】が媒介する風土病に対して、アフリカ原産の野生種は抵抗力をもっていたがユーラシアや北アフリカ原産の家畜は壊滅的被害を受けた。



◆ チェックポイント ◆

○「受け入れられなかった新しい技術」

《ファイストスの円盤》P47
1908年、クレタ島ファイストスの古代ミノア宮殿で発見された遺物。直径16.5cmの粘土板には、活字を押し付け焼かれている世界最古の凸版印刷。しかし、印刷技術は2500年後の古代中国まで登場していない。印刷技術の始まりを予感させるが、記号の意味も、どこで誕生したのかも、この技術が広まらなかった理由も、解明されないままである。

《効率的なキー配列のキーボード》 ★Keyword=【QWERTY配列】P59
・1872年に開発されたタイプライターは【QWERTY配列】で頻出度の高い文字を左の3列に分散させた非人間工学的な設計。
★当時のタイプライターは、隣接キーを続けて打つとキーがからまるため、タイピストの指の動きが遅くなるようにした苦肉の策。よく使うキーをあえて非力な左指で打たなくてはならないように配置し、しかも上中下3列に分散した。
・1932年に倍の速度で打てる効率的なキーボードが開発されたが、すでに【QWERTY配列】は社会に定着し、陽の目を見なかった。

○「1500年頃の法治国家」P87
・今日では南極大陸以外どこも国家に属しているが、1500年頃の法治国家は、世界の面積の20%以下でしかなかった。いまだに部族社会を営んでいる人々がニューギニア、メラネシア、アマゾン川流域に存在するが、政府支配下に置かれているのが現状。
・【小規模血縁集団】や【部族社会】は、辺鄙な地域で存在しているが、【首長社会】は統治国家が占有したい土地に暮らしていることが多く、20世紀初頭には崩壊している。



◇□◇◆◇□◇ 人類史と旅 ◇□◇◆◇□◇

読み返してあらためて壮大な人類史に感激する。
科学の視点・医学の視点で読み解かれているところに新鮮さを感じる。

作物化、家畜化そしてそこから出現する感染症。
複雑多岐にわたる分野が集約され歴史に反映されてくる。

歴史を動かしてきたのは人間かもしれないが
歴史を作ってきたのは「感染症」であったり「大陸の広がる方向」であったりする。
こうした原因の方が根源的な影響を及ぼしている。

人の考えも及ばないところに歴史を変えた原因があった。
時折旅に出かけるが、こんな歴史の一面に気がつくと旅もまた一味違ったものとなる。



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日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
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科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
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