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モンゴル山野草紀行(Part3)最終回、なかでも湿原植物がすばらしい。画像も大きくして掲載しています。

モンゴル大草原、ゲルを起点に山野草紀行 (2010年 Part Ⅲ) 
■FLOWERS of HUSTAI NATIONAL PARK■
(モンゴル草原の【山野草】の旅行記事と現地で手に入る【植物ガイドブック】のご案内です)

Leontopodium ochroleucum(キク科ウスユキソウ属) Parnassia palustris(ユキノシタ科ウメバチソウ属) Saussurea amara(キク科トウヒレン属) Medicago ruthenica(マメ科ウマゴヤシ属)
Ptilotrichum canescens(アブラナ科) Dracocephalum foetidum(シソ科ムシャリンドウ属) Panzeria lanata(シソ科) Pediculasis sp.(ゴマノハグサ科シオガマギク属)
(※写真内をクリックすると、拡大した鮮明な写真になります)


※山野草の名前は、ホスタイ・ナショナルパーク発行の「野草図鑑」にて確認しています。一部確認のできないものは、( )付きにて表示させていただきました。

◆植物ガイドブック-1

Flowers of HUSTAI NATIONAL PARK  (内容)内容-A
(※写真内をクリックすると、拡大した鮮明な写真になります)
                        
ホスタイ・ナショナルパーク発行の「野草図鑑」。主要な250種について2枚の写真と、国内の生育地が色分けされている。モンゴルで頼りになる唯一に近いガイドブック。表紙に何故か“ウマ”が登場するのがモンゴルらしい!
旅行者が立ち寄る博物館、民俗芸能館、規模の大きなツーリストキャンプ売店で入手できる。
PartⅠで詳しく紹介しています。⇒http://drkusaichiscience.blog123.fc2.com/blog-entry-73.html






《5日目》ラムサール条約登録湿地ウギノールへ向け出発。

素晴らしい3泊を過ごしたツァガンスムを後にする。世話をしてくれたゲルの人たちが皆ゲートまで見送りに来てくれた。顔かたちが日本人と変わらないこともあり、3日の滞在だが親しみがわいた人たち、『バイルタェ』 『バイエルラー』。

昨日散策した温泉の源泉、そこからのお湯を運んでいたポンコツの給水車も思い出の一つ。
源泉に立つ“オボー” 源泉(温水が湯気を出し流れる)
源泉にも“オボー”が建つ。何か所からもお湯が湧き出し、それぞれに効能が書かれている。かなり熱い!
給水車 給水車
温泉を運んでいた給水車。手動のスタータ、今では無声映画でしかお目にかかれない貴重な存在。しかも現役!
ゲルと野外レストラン ゲルの中
ゲルと屋外レストラン。簡易な造りだが、ここで草原と放牧を見ながらの食事は気分がいい。スイカ割りもした(モンゴルの人にも受けた)。ゲルの内部、中央にストーブ、ベッドが3つ、狭くはない。


途中、例によって気になる野草があれば車を止めての休憩、時間も読めないが、どんな野草に会えるかも未知、行き当たりバッタリ、気ままな移動である。大きな湖の畔、また新しい野草に会えるに違いない。


しばらくぶりの町。ひとやすみ。10軒ほど建物が並び、なかに1軒商店がある。
カラコルム近く、久しぶりに店がある 唯一の売店 足元にコンクリート製の下駄を履いた電柱
悪路の揺れる長旅で“腰”を伸ばす同乗者「ヨッコラショ!」が聞こえてきそう。
商店はどこの町でもこの感じの色につくられている。
モンゴルでよく見る電柱、足元はコンクリート製、上にカラマツの柱が括りつけられている。

Plantago sp.(オオバコ科) Plantago sp.(オオバコ科)
Plantago sp.(オオバコ科)
世界どこへ行ってもオオバコを見つける。その土地々で異なる表情をしている。日本にあるものもヨーロッパ原産という。スズメも同じようにどこでも見るが、色合い表情が少しずつ異なる。これも旅の楽しみの一つ。


アネハヅルアネハヅル

◆ウギノールへ向かう途中で見つけた山野草

草原の青い花、白い花、気になりだす。一番群落の集中している草原の真ん中で休憩。
はるか遠方にアネハヅルの群れを見つける。
移動途中の風景 移動途中、野草がきれいなので休憩
マメ科の灌木と白と青紫色のシソ科植物、緑、黄緑色の部分の草原はヨモギ。
遠目には緑の草原だが、表面かなり乾燥している。日差しが強い。

Caragana microphylla( マメ科) Caragana microphylla( マメ科)
Caragana microphylla(マメ科)
上の写真で、ところどころこんもりしているのはマメ科の灌木。枝には鋭い刺が目立つが、ラクダの好物。刺をものともせずに食べてしまうという。乾燥しヤギ・ヒツジなど家畜の飼料となる。また新芽を好んで食べるという。写真を撮るため近づいていると、この灌木の下によく毒のある蛇がいると脅かされた。

ヨモギ ヨモギ
Artemisia(sieversiana)(キク科ヨモギ属)
シルバー系に見える。花も大きくキク科と感じられるヨモギ。

Artemisia palustris(キク科ヨモギ属) Artemisia palustris(キク科ヨモギ属)
Artemisia palustris(キク科ヨモギ属)
丈が低く、草原が黄色を帯びる。土壌が乾燥してくるとこのヨモギが増えよく目についてくる。

Panzeria lanata(シソ科) Panzeria lanata(シソ科)
Panzeria lanata(シソ科)
花全体がふわふわとした毛でおおわれている。特に上唇上部は長い毛でおおわれ綿毛のよう。全体が白いので、下唇の紫色のラインが一際きれいに映える。

Dracocephalum foetidum(シソ科ムシャリンドウ属) Dracocephalum foetidum(シソ科ムシャリンドウ属)
Dracocephalum foetidum(シソ科ムシャリンドウ属)
車中から一番目立っていた紫の花。細かいところまで見えないので、“モンゴル・ジュウニヒトエ”と勝手に命名していた。やはりシソ科、草原が青紫色に色づくほどの群落をつくっていた。轍で硬くなった部分でも逞しく進出している。



ラムサール条約登録湿地ウギノール到着。14時過ぎ、思いのほか早く着いた。
モンゴルではじめて見る湖。
JICAによる「集水域管理モデルプロジェクト」の一環でビジターセンターが畔にある。湖畔を散策しながら、ここを訪れる。見学していると担当者から明日湿原を案内してくれる話が進んだ。思いがけない提案、明日が楽しみである。

ウギノール案内板 風景


テーブルテーブル

ツーリストキャンプは、リゾート風で設備もよく、食事もいい。カラコルムビールで乾杯!
テーブル 食事
ヨーロッパからの旅行客も多く、テーブルのセッティングもレストラン風、窓付きの食堂ゲルで外の眺めもいい。そういえば昨日までの食堂ゲルは、入り口のドアと天窓以外明かりが入るところがなかったことに気がつく。

ビール メイン デザート
夕食のサラダとメイン料理“ボーダータイホーラガ”(チャーハン風米料理)
サラダ、スープも付いたが撮影忘れ食べてしまった。カラコルムビールがうまい。
この日の昼食は、湖の魚料理、こちらもお腹がすいていたので、撮影なしで食べてしまった。

サラダ スープ メイン デザート
2日目の昼食。やっと落ち着いて、スープからデザートまで忘れずに撮影。
トレッキング中の外での昼食は“ホーショール”(餃子を平らにしたような半月形で、挽肉入)を用意してくれる。

朝食 昼食メインディシュ
朝食は、揚げパンがつく。ウェイトレスが給仕してくれる。2日目のメインディシュは“マハタイホーラガ”(肉の炒め物)とご飯、ポテト盛合せ。


ヨモギ
 
◆近くの湿地で見つけた山野草《ウギノール》
湿地景色 コブ状ン地形-2 コブ状の地形-1 ウスユキソウ・ウメバチソウの群落
地表が1^2mほどの幅でコブ状に起伏し、低い部分に水がたまっている。冬季の凍結によりこのような地形ができた…冬に裸地が先に凍結し、植物の下の凍結していない土壌を押し上げ盛り上がるためできる【構造土】ではないか。いずれにしても、その植物の好みの湿度の場所を選んだ結果の群落ではないだろうか。

Leontopodium ochroleucum(キク科ウスユキソウ属) Parnassia palustris(ユキノシタ科ウメバチソウ属)
Leontopodium ochroleucum(キク科ウスユキソウ属)Parnassia palustris(ユキノシタ科ウメバチソウ属)
ウスユキソウ・ウメバチソウともに生育環境があっていると見え、今までになくよく成長して花も美しい。
Resize\Pediculasis sp.(ゴマノハグサ科シオガマギク属)
Pediculasis sp.(ゴマノハグサ科シオガマギク属)
こちらも生育がいい。ヨツバシオガマの仲間もきれいに咲いている。

シソ科の植物 シソ科の植物
Euphrasia (tatarica)(ゴマノハグサ科 コゴメグサ属)
ゴマノハグサ科の植物であるが、花が小さくガイドブックで確定できない。花びらの先が薄い紫を帯びきれいな花。半寄生植物。ある場所に群生しているので、一面シルバー系の葉が目につく。

Resize\Senecio integrifolius(キク科キオン属) Resize\Senecio integrifolius(キク科キオン属)
Senecio integrifolius(キク科キオン属)
日本でも見られるお馴染の花。ここでは他に背の高くなる植物がないのでよく目立つ。

Halerpestes salsuginosa(キンポウゲ科  ヒメキンポウゲ属) Halerpestes salsuginosa(キンポウゲ科  ヒメキンポウゲ属) Halerpestes salsuginosa(キンポウゲ科  ヒメキンポウゲ属)
Halerpestes salsuginosa(キンポウゲ科 ヒメキンポウゲ属)
葉の形、独特の個性がある。コブの谷部、湿気の多いところに生育。昨日の雨で水に浸るような場所が合っているよう。


チーズ乾燥

湿原で山野草を追っていたころから雨が降り出す。風も出てきて寒くなる。雨を凌ぐことと、昼食の弁当を食べるため近くのゲルを訪ねる。弁当は“ホーショール”(餃子を平らにしたような半月形で、挽肉入)が3枚ほど入っていた。
ゲルの中:ストーブと馬乳酒 馬乳酒 
入口を入ると、ストーブ、その上に馬乳酒、ちゃっかり横でネコが暖をとっている。

乾燥肉 乾燥させている乳製品
入って左上に乾燥肉、右側ではチーズを乾燥させている。

ゲル内部 胃袋 ゲル天井
“シミンアルヒ(発酵乳の蒸留酒)”を勧められる。マグカップほどの容器になみなみとある。皆でまわし、飲み干すとまた注ぎ足してくれる。残すのも失礼かとまた飲み干す。またまた注がれる。4^5回繰り返した後に、もう要らないときはカップを伏せて戻さないのだとガイドの説明。だいぶ効いてきてしまった。
胃袋が吊るされている。ヤギ、ヒツジの胃袋は乳を入れる容器となる。
奥に箪笥、その上にご先祖の写真などが飾られる。外からの明かりは天窓だけ。

種馬 仔馬
種馬は“たてがみ”を短く切らないため、どこか風格がある。
今年生まれた仔馬。近づくととても臆病で怖がってしまう。

家畜の糞小屋 家畜の糞 2010.08.モンゴル-2 107_R
草原に家畜の糞の小屋がある。羊と牛の糞が重なるが、寒く乾燥しているためか少しも臭くない。


雲

◆なだらかな牧草地で見つけた山野草《ウギノール》
昼前からの雨は上がったが、風はおさまらない。雲の流れは速いが日は差してこない。遮るもののない草原で、ひたすら風に曝される感じがする。フード付きウインドブレーカーで身支度をするが、耳元でフードが風切音を鳴らす。

この辺は、よく風に曝されるのだろう。草丈も低く、生育も疎らで、土が露出している。
風景 風景
雲のようすからかなり荒天なことがわかる。とにかく風が吹きさらす。
風景 馬の白骨
雲の合間で少し明るくなったところ。白骨化した家畜がそのまま曝されている。

Dontostemon integrifolius(アブラナ科 ハナハタザオ属.) Thymus gobicus( シソ科イブキジャコウソウ属.)
Dontostemon integrifolius(アブラナ科 ハナハタザオ属) Thymus gobicus( シソ科イブキジャコウソウ属)
乾燥、風、放牧など植物にとっては過酷な環境。やっと成長して花をつけた感じ。撮影も風で花がブレてしまう。

Saussurea amara(キク科トウヒレン属) Saussurea amara(キク科トウヒレン属)
Saussurea amara(キク科トウヒレン属)
日本では高山でしかお目にかかれないが、この環境下でここまで育つ。
アルカリ土壌や塩性土壌にも適応できることが強みか。

Resize\Urtica cannabina(イラクサ科) Resize\Urtica cannabina(イラクサ科)
Urtica cannabina(イラクサ科)
うっかり触れようものなら、細かな刺が皮膚に刺さり激痛が走り、しばらく痛みが治まらない。さらに痒みだのアレルギーだのを引き起こす物質で攻撃するすごいヤツ。針のような刺が無数についている拡大写真。

Arctogeron gramineum)(キク科) Arctogeron gramineum)(キク科)
(Arctogeron gramineum)(キク科)
これまたガイドブックの写真だけでは判断できない。『白い野菊』と呼ぶしかない。僅かばかりの枝葉に大きな花をつけていた。

Cerastium arvense(ナデシコ科 ミミナグサ属) Cerastium arvense(ナデシコ科 ミミナグサ属)
Cerastium arvense(ナデシコ科 ミミナグサ属)
5枚の花弁が割れて、10枚のようにも見える。風に揺れ、ブレないように撮るのは至難の業。

ミカン科 Linaria acutiloba(ゴマノハグサ科ウンラン属)
(Haplophyllum sp.)(ミカン科)          Linaria acutiloba(ゴマノハグサ科ウンラン属)
過酷な環境下、花をつける。花数は少なくても、大きさは変わらない。花粉媒介昆虫の大きさに合わせる必要性があるためか。

Medicago ruthenica(マメ科ウマゴヤシ属) Medicago ruthenica(マメ科ウマゴヤシ属)
Medicago ruthenica(マメ科ウマゴヤシ属)
小さな花が風になびいていた。濃くはっきりした色で目立つ。よく見るほどにきれいな花。

Ptilotrichum canescens(アブラナ科) Ptilotrichum canescens(アブラナ科)
Ptilotrichum canescens(アブラナ科)
スイートアりッサムの仲間。こんな環境下でよく育っている。


アネハヅル飛行

◆モンゴルで出逢った動物【昆虫・クモ・鳥・家畜】

シジミチョウ シジミチョウ
強風下で、ヨモギにしがみつくシジミチョウの仲間(3頭いる)。普段は素早いが、手を離すと飛ばされるのでしがみついている。手袋を近づけると今度はここにしがみつく。

チョウ チョウ チョウ 
暖かくなると蝶が飛び始める。

甲虫 ハチ クモ
きれいで目立つ甲虫。腹に黄色の帯があるハチ、脚の縞模様が特徴のクモ。
アネハヅル アネハヅル
アネハヅルの群を見かけるが、警戒心が強く遠目でしか見られない。秋にチベットからヒマラヤを越えてインドに渡りをするところが映像でもとらえられ話題になった。
ワシ
大きな猛禽類もいた。ゲルから生後3か月の乳飲み子がさらわれた話を聞いた。
草原に群れているので、大きな黒い影として異様に目立つ。
ガイドのヒシゲさんから【ハヤブサ】の話を聞いた。アラブでは【ハヤブサ】で狩をするため、高値で輸出さえているという。頭数は制限されているとはいえ、高値のため正規ルート以外でかなり捕獲されているらしい。その結果、地ネズミが増え牧草地を荒らすことになるという。

遊牧
広大な草原で一休みしていると、ヤギとヒツジの大きな群れが次第に近づいてくる。
あっという間に草原風景が遊牧の風景に早変わり。


アネハヅル


夕日
ゲルに寝泊まりは今夜まで、いつものように予定時間を過ぎた21時に遅い夕食。窓の外はやっと夕日。
ゲルの向こうで湖が夕日に映える。また撮影に外へ出る。そして…夕食がまた遅くなる。…。




《7日目》早朝、ウランバートルへ帰路につく。
未舗装の道を抜けて舗装してある幹線道に出る予定だが、昨夜、雷鳴とともにかなり強い雨が降った。初日に「ドライバーに目的地までの距離は聞いても時間を聞いてはだめ!」とガイドさんから注文があったのを今頃思い出す。なにしろ途中状況が分からないのだから、時間を聞かれるのが一番嫌なことだという。ゲルのオナーのアドバイスもあり、ぬかるみを避け別の道から行くことになる。ガイドさん「2時間ほど余計にかかる」とサラリと言う。泥濘にはまるよりマシ、この地で急いでもしょうがない。道すがら珍しい山野草でも見つかるかもしれない。

ヒツジ


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Dr.kusaichi

Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

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科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
最近話題の本も登場、その他 私の勝手にいろいろ出てきそうです。
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