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【生物多様性】【生態系】その本質は? 湖の生態系を通して解説。誤解され、見落されやすい部分がが見えてくる。『自然はそんなにヤワじゃない』お薦めの一冊。

■自然はそんなにヤワじゃない■


【トキ】復活の活動は、よく報道されるが、【トキ】が棲む環境についての詳細が見えてこない。餌となる小魚、カエルなど小動物は、農薬を使わないことで確保する報道はあっても、その餌のそのまた餌、またその餌の“微生物”までどう捉え、生態系をつくり上げるのか、あるいは、天敵についての対策はどうなのか考えると、把握しきれない部分が多いように思えてならない。

先日【テン】に飼育舎が襲われ、何頭もの被害が出たニュースは記憶に新しい。鶏でも飼った経験があれば、事前に予知して、対策を取れたはず。お粗末の一言ではないだろうか。このレベルで、【トキ】を含む生態系をどこまで捉えているか?とても心もとない。
【生態系】【生物多様性】など使う言葉は同じでも、その意味する内容の重さが、人によりそれぞれ違うことを痛感する。

本書まえがきに 『環境問題の一つに、【生物多様性】の喪失がある。人間活動が絶滅危惧種を増やしていることから、よく耳にする。多くの人が、生態系を考える機会を増やすこととなり、望ましいことではあるが、その活動は、特定の生物種ばかりに目が向き、生物群集全体、さらには生態系まで思いが至っていないように感じる』 とある。 ひたすら同感である。

著者は、湖の生態系を研究、特に【動物プランクトン】に注目した記述が多い。プランクトンは、湖水中で比較的均一に分布しているため、一定量の湖水を採取することで、それぞれの種の現在量を把握できる。そのため、湖水中の環境の推移に応じた生物群集の変化を比較的容易に捉えられる。
【動物プランクトン】【ミジンコ】の生態を通してみる【生物多様性保全】【生態系保全】論。
ポイント、問題点が見えてくるお薦めの一冊



★詳細はこちら↓
自然はそんなにヤワじゃない



花里孝幸(はなざと・たかゆき)著
2009.05.25.
株式会社 新潮社 新潮選書


★★★☆☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★☆☆ 保存版
★★★☆☆ 編集、構成
★★★★★ 総合評価
 

◆《感銘・共感・知見の一文》◆ 
 
◎「なぜ【生物多様性】が大切なのか?」  ★キーワード=【生物多様性】 P59
『だれも納得できる明快な答を提示していない』
一つに、 「生物種が多くなれば、生態系はより安定する」 また、「生物多様性が高い方が、生物がもつ遺伝子の多様性も高い」 ことがあげられるが、多様な遺伝子を維持するコスト、その価値を考えると答えは簡単ではない。
そもそも、【生物多様性】が注目されるようになったのは、身近な野生生物の多くが個体数を減らしたり、絶滅する様子から直感的に、不安を感じたことがあげられる。
★【生物多様性】は、 「多様な生物が生息することはよいこと」 「生物種を減らすような負荷を与える人間活動は、悪いこと」 と考えられるようになったことに、危惧を感じていると著者。

◎「“見えない” と “いない” の違い」 P92
野外には、生物や非生物によりさまざまなスケールで、重層的に環境をつくり、その環境の中に生物が棲みついている。【生物多様性】の話に登場する動物は、大型獣、鳥、魚、カエル、昆虫類などで、直接目で見える大型の生物である。しかし、これらの生物は、生態系を構成する生物のごく一部でしかない。人が関心を示さない土壌中の微生物の方が、現存量として大きい

◎「我々が認識していない生物種」 P169
人間は視覚に頼ることが多く、“かわいい” “美しい”と判断してしまう。生物を差別することになり、【生態系保全】の際に災いになる。一部の生物を守ることで、不利益を被る生物が出てくる。【生物多様性保全】の活動が、生物を差別し、生態系のバランスを崩すことにもなる。
【生態系】には、微生物をはじめ、我々が認識していない生物種が多く存在し、重要な役割を担っていることを理解すべきである

◎「【生態系保全】に重要で有効なことは、人類の活動力を抑えること」 P161
産業革命以降、一人当たりの使用エネルギーを増やし、人口も急激に増大したことで、非常に高い活動力をもつようになった。しかし、このことは生態系が変わる要因となる。したがって、【生態系保全】に重要で有効なことは、人類の活動力を抑えることである。
消費エネルギー、食糧を減らすには、人口を減らすしかないことになる。人類が永く生き残るためには、克服しなければならないことである。

◆《ポイントひろい読み BEST 5》◆  
【生物多様性保全】【生態系保全】で、理解されにくい事例、誤解されやすい事例を5例選んでいます

◎「生物を差別する人間」 P29
【ミジンコ】も含めた湖水中の微小生物は、生態系の主要な【生産者】【一次消費者】【分解者】としての役割を果たしているため、微小生物群の変化は、魚も含めた生態系全体に大きな影響を与えることになる。
しかし、人間は、湖の生態系を語るときには、魚しか目に入らない。魚以外では、水鳥、エビ、水草程度。
微小な【プランクトン】は、無視される。
海でも、同様に大型の生物ばかりが注視され、その生物を支えている小さな生物の存在を軽視する傾向にある。

◎「微生物を過大評価」  ★キーワード=【COD】【BOD】 P35
微生物を軽視する一方、【アオコ】の退治、発酵菌による有機物分解など、水質浄化で過大評価される。
この時の説明は、菌が水を汚す成分を食べ、水を浄化してくれるというもの。しかし、これはおかしい。水を汚す直接の原因物質は【有機物】。水中の【有機物】は最終的に、【バクテリア】によって分解される。
その際、【バクテリア】の呼吸で水中の酸素が消費され、水質汚濁問題が生じる。その指標として、【COD】【BOD】が使われる。
湖、池に【微生物】を投入すると、水質が浄化されるという勘違いは、下水処理場の浄化システムの誤解が原因、と著者。下水処理場では、【微生物】に水中の有機物を食べさせ浄化。有機物を食べた【微生物】は処理層で沈殿し、除去されている。
★つまり、【有機物】を除去している。ここを見落としているための誤解。

○「水が澄んだ湖は、【生物多様性】は低い」  ★キーワード=【食物連鎖】 P73
水質浄化目的でのキャッチフレーズ “魚がたくさん棲めるような きれいな湖にしよう” は生態学的に間違った表現。水が澄んでいることは、栄養が不足し植物プランクトンも少ない。湖の生態系は植物プランクトンに始まる【食物連鎖】が少なければ、上位に位置する魚も少ないことになる。
★水が澄んだきれいな湖より、水質を濁らせる要因の【植物プランクトン】が多い方が、多様な生物が棲んでいる。 [LINK]⇒サンゴも【褐虫藻】と共生することで、有機物の少ない澄んだ海に棲むことができる。
★『自分が好きな生物は、自分が好む環境を好むと勘違いしているためではないか』 と著者の指摘。

◎「人が求める環境は、【水域】と【陸上】で矛盾」 P83
熱帯雨林は最も【種多様性】の高い場所であり、これは陸上、水域で共通すること。しかし、人々は水域に対し、【生物多様性の保全】を望みながら、【水質浄化】に熱心。水中の窒素、リンの濃度を減らすことは【生物多様性】を低下させることであり、ここに矛盾がある。
★水域に対しては、良質な貯水池の役割を望み、澄んだ水を美しいと感じ、爽快感を感じるため、生態系のメカニズムは同じでも、人の求める環境は陸上とは異なることになり、ここに矛盾が生じる。

○「田んぼ作りに於ける矛盾」 P149
「田んぼの生きものの力を見直し、生物多様性を高めた水田」をつくることが謳われるが、これはおかしい。
イネばかりが植えられる田んぼ、植物の多様性は極めて低い。雑草を抑える【イトミミズ】害虫を食べる【カエル】など、人間中心に生物を“雑草” “害虫”と分け、差別した表現。
このようなところに、高い【生物多様性】を求めること自体に無理がある。と著者。

◆《チェックポイント BEST 3》◆ 
ここは少し上級者編、ひろい読み編が気に入ったら次はこちらで、チョット深読みしてはいかがでしょうか。

○「【プランクトン】による【生態系】の研究」 P63
【プランクトン】群衆の中には、生態系の構成員がそろっていることで、生態系の研究に適した生物。しかも、比較的均一に分布していることで、湖全体の推定、季節変化など定量的に追跡できる。
ほとんどの【プランクトン】が【休眠胞子】【休眠卵】をつくるので、湖底の泥を採取し水槽で発生させる。
まず【植物プランクトン】が増え、次に【ワムシ類】【小型ミジンコ】しばらくすると、【中型のミジンコ】となり、さらに、大型の【カブトミジンコ】が増え始め、ついには【大型ミジンコ】の優先が続く。

◎「競争に強いものはストレスに弱い」  ★キーワード=【キー・スピーシズ】 P65
動物プランクトンの競争では、強い順に【大型ミジンコ】⇒【中型ミジンコ】⇒【小型ミジンコ】である。
この水槽に農薬を入れて見ると低い濃度で、最初に【大型ミジンコ】が死滅し、【中型ミジンコ】が優勢になり、濃度を高めていくと、今度は【中型ミジンコ】が死滅し、【小型ミジンコ】が優先してくる。
農薬への耐性は、強い順に【小型ミジンコ】⇒【中型ミジンコ】⇒【大型ミジンコ】となり、小型種ほど耐性があることになる。
★『競争に強いものは薬剤に弱い』 ⇒ 『競争に強いものはストレスに弱い』 ことになり、生態学的に重要な意味をもつ。
生態系にストレスが与えられると、【キー・スピーシズ】が最も影響を受け、生態系全体が変化する。
【キー・スピーシズ】は直接ストレスの影響を受けるが、他の生物は【キー・スピーシズ】を介し間接的な影響を受ける。
★生態系に対するストレスを考えるとき、間接的な影響に対しても、理解が大切である。

◎「人間による生態系の撹乱は、小型種を増やしている可能性がある」  
                                                                     ★キーワード=【r-戦略者】【K-戦略者】 P117
【r-戦略者】は小型生物。卵(子)を大量に産、成熟が早い、寿命が短い、高い分散能力をもつ
【K-戦略者】は大型生物。卵(子)を少なく産、成熟に時間を要、寿命が長い
人間による生態系の撹乱は、大型種を減らし、小型種を増やしている可能性がある。小型種を増やして、生物多様性を高めている可能性がある。これは【r-戦略者】的性格をもつ生物を増やしていることになる。
『人間による生態系の撹乱は、【K-戦略者】的性質をもつ生物を減らし、【r-戦略者】性質をもつ生物の優先を導く』 と著者は考える。



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Dr.kusaichi

Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

植物の本、昆虫、小動物、菌類からウィルスまでいろいろ登場予定。
科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
最近話題の本も登場、その他 私の勝手にいろいろ出てきそうです。
気軽に楽しんでいただけると幸いです。

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