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『日本の桜』いよいよ桜の時節。桜の種類、品種を写真で検索。野外ですぐ使える優れもの。名所散策やお花見などに携行すれば、さらに楽しく頼りになる。

■日本の桜■


『桜』の野生種、栽培品種、それにサクラ亜科のモモ、ウメ、スモモ、など『桜の仲間』も掲載されている。巻頭に「花による検索」「葉による検索」があり、ビジュアル化され検索しやすい。続いて『栽培品種』は咲く時期ごとに花の写真と品種名が並んでいて見やすい。

写真も美しく秀逸で、細部まで良くわかる。『サクラ』の検索図鑑として野外でも使いやすい。一番厄介なのは、種間雑種が多いことだが、系統の見当がつくと『桜』の楽しみ方が倍増する。

その土地ごとに『桜』があり、時代の変遷とともに主役の“種”も入れ替わってきた『桜』。古くから愛でられ親しまれてきた『桜』ならではの話題も多く、読んでも楽しい。

初版からずいぶん経つが、毎年『桜』の時期がくると取り出す一冊。わたしにとって事典的存在。コンパクトにまとめられ、持ち歩きやすい点も気に入っている。
いよいよ『桜』の時節。名所散策やお花見などに携行して楽しく、頼りになる一冊。



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価格:1,890円(税込、送料別)

『日本の桜』
勝木俊雄(かつき・としお)著
(2001.03.16. 初版)
増補改訂版
学習研究社 フィールドベスト図鑑 10


★★★☆☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★★ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価





◆ 感銘・共感・知見の一文 ◆

◎「香りのするサクラ」P85
・桜餅の葉は【オオシマザクラ】で、塩漬けにして利用される。開花直後の花にも香りがある。
・【ヤマザクラ】【エドヒガン】の花には香りがない。里桜で香りのする花は【天の川】【有明】など。
香りの成分は【クマリン】。
■クマリン:C9H6O2
葉や花の中で【クマリン酸】は配糖体として糖と結合しているため匂わないが、乾燥や塩漬により、酸素と接触すると【クマリン酸】が分離し【クマリン】が生成され芳香を発する。抗酸化作用、抗菌作用がある。

◎「南殿の桜・左近の桜」P177
・京都御所紫宸殿(南殿)に「右近の橘」「左近の桜」が植えられている。古くは「梅」が植えられ「桜」となったのは平安期のこと。代を重ねる桜は白色系の【ヤマザクラ】が多いが、なかには【サトザクラ】の時期もあったらしい。

◎【ヤマザクラ】と【ソメイヨシノ】P211
・江戸時代に、染井村(現在の豊島区駒込付近)で産出された改良品種。【ソメイヨシノ】がお花見の主役になるのは、明治以降のことで、それ以前の花見といえば【ヤマザザクラ】。

◎「ポトマック河畔の【ソメイヨシノ】【関山】」P107 P119
・1912年、12種3,000本の桜が贈られ、今でも桜の名所となっている。同時にニューヨーク州へも送られたが、こちらはほとんど枯死してしまったらしい。
・この2年ほど前の1909年にも苗木が贈られたが、害虫が発生したため焼却処分された経緯がある。
今年2012年は100周年。ワシントンやニューヨークで記念行事が予定されている。(例年ワシントンとその周辺で「桜まつり」開催が恒例になっている)

さくらB


◆ 図鑑の構成ポイント ◆

★花の写真を見ながら検索、花序など用語を知らなくても分るところがポイント!

◎「桜の野生種10種」P8
◆花による検索(★写真を見ての検索なので花序の種類など知らなくてもすぐわかる)
◇散房状花序
【オオシマザクラ】【ヤマザクラ】【カスミザクラ】
【タカネザクラ】【マメザクラ】【チョウジザクラ】
◇散形状花序
【オオヤマザクラ】【カンヒザクラ】【エドヒガン】
◇総状花序
【ミヤマザクラ】
(検索図は花弁の大きさで見当がつくよう順に並んでいる)
■用語■
散房状花序(corymb)
多数の花柄は下部の花ほど長く、倒円錐形に見える花序
シモツケ・アブラナ・アジサイなど
散形状花序(umbel)
多数の花柄は花軸が短く、一点から放射状に伸びているように見える花序
サクラソウ・ヒガンバナ・セリなど
総状花序(raceme)
多数の有柄の花が均等につき、花柄の長さがほぼ等しい花序
フジ・ギボウシ・オカトラノオなど
(穂状花序 (spike) は、無柄の点で異なる)

◎「桜の野生種10種」P10
◆葉による検索
◇葉・葉柄は有毛
【エドヒガン】【チョウジザクラ】【ミヤマザクラ】
◇葉・葉柄は無毛
【オオシマザクラ】【オオヤマザクラ】【カンヒザクラ】【ヤマザクラ】
◇葉・葉柄は有毛あるいは無毛
【カスミザクラ】【タカネザクラ】【マメザクラ】
≪このどちらともいえない種があることが、葉での分類のややこしいところで、形、色、鋸歯、蜜腺の位置など総合的に見ないとならない≫
(検索図は葉身の大きさで見当がつくよう順に並んでいる)

◎「サクラを【Cerasus属】として分類」
・花柄が長く、頂芽をつくる点から【Cerasus属】として一つの属にする分類を採用している。
◆サクラの仲間として分類された6属
・【Cerasus属】:サクラの日本種と種間雑種、栽培品種
・【Amygdalus属】:モモ・アーモンド
・【Armeniaca属】:ウメ・アンズ
・【Laurocerasus属】:リンボク・セイヨウバクチノキ
・【Padus属】:ウワミズザクラ・イヌザクラ
・【Prunus属】:スモモ・ヨーロッパスモモ
★サクラ属は、他の図書や図鑑などは【Prunus属】として一つにまとめらえていることが多く、この表示に慣れてきたが、亜属を別属とするこの分類は花の特徴からわかりやすい。
◆雌しべが2~5本ある点で、サクラの仲間と区別。
・【Pyrus属】:アオナシ・ナシ栽培種
・【Malus属】:エゾノコリンゴ・ズミ・ハナカイドウ・リンゴ栽培種
このほか似た花に【ボケ属:Chenomeles】:ボケ・カリン・マルメロがある。

◎「サクラの種」P23~62
・「桜の野生種10種」とその種間雑種が載っている。生育地が日本地図に表示されているのでわかりやすい。
・「自然交雑種」サクラは交雑するので雑種となると判断が付きにくい。
・「外国産」の【ユスラウメ】【セイヨウミザクラ】【ニワザクラ】【ニワウメ】【ヒマラヤザクラ】などもここに掲載されている。

◎「栽培品種の見分け方」P6 
1.【ソメイヨシノ】の開花時期を基準に「秋~冬」「春」「晩春」により検索(P12~22)

2.花の色と花弁の数で検索(P12~22)

3.各ページへ(P64~247)
★この栽培品種が非常に多い。古くから品種改良された種も多く一番の難所。特徴ある種をいくつか頭に入れ、見当をつけるほかないが、これも至難の業?

さくらC


参考資料
※「樹に咲く花」も参考にして、特徴とポイントを2~3行でまとめました。 

◎「野生種10種の特徴」
a;日本での生育地・b;開花時期・c;花と葉の展開時期・d;花外蜜腺位置

◇散房状花序
A【オオシマザクラ】C.speciosa
・関東南部、伊豆諸島の暖地(3下~4上)・葉の展開()と同時期・葉柄上部
・葉、花は香りがよく「桜餅」/栽培品種「里桜」を輩出/潮風に強い
★実生苗を里桜の台木にする。

B【ヤマザクラ】C.jamasakura
・東北南部以西・(3下~4中)・葉の展開と同時期・葉柄上部
明治以前のお花見は【ヤマザクラ】を指す/材は緻密で香りもよい

C【カスミザクラ】C.verecunda
・九州と四国南部を除く全国・【B】より遅い(4~5月)・葉の展開と同時期・葉柄上部
・【ヤマザクラ】より標高の高い地域/寒地が適地/【B】と違い葉、葉柄は有毛

D【タカネザクラ】C.nipponica
・中部地方以北・(5~7月)・葉の展開と同時期・葉柄上部
最も標高の高いところで生育、暖地では生育が難/こんもりした樹形/花は下向

E【マメザクラ】C.incisa
・関東、中部の太平洋側・(3下~5上)・葉の展開と同時期・葉身基部(柄があることも)・
・箱根の山麓に多い/【フォッサマグナ要素】/花は下向/低木で花付が良いため庭木、盆栽に利用
■フォッサマグナ要素■
Fossa Magna(ラテン語):大地溝。糸魚川~静岡構造線の地溝帯では、富士火山帯の影響を受け変異、分化した植物群が分布する。これらの植物を【フォッサマグナ要素】と称する。
★糸魚川-静岡構造線は西端、東端は新潟~千葉まで含まれるが、東端については諸説ある。

F【チョウジザクラ】C.apetala
・本州太平洋側/広島/熊本・(3~4月)・葉の展開と同時期・葉身基部、葉柄上部
・山地、石灰岩地に生育/筒型の萼頭が特徴で名前の由来・萼、苞にある“毛”には腺があり粘る

◇散形状花序
G【オオヤマザクラ】C.sargentii
・九州を除く全国・(4~5月)・葉の展開と同時期・葉柄上部
・【C】より標高の高いところに生育/北海道に多く『蝦夷山桜』を呼ばれる/樹皮は樺細工
大きな花弁と紅色の花が特徴で【ソメイヨシノ】が生育できない寒地で植えられる

H【カンヒザクラ】C.campanulata
・台湾、中国南部、石垣島・(1下~3月)・葉の展開・葉柄上部
・沖縄など暖地で【ソメイヨシノ】の生育できない地方で植えられる桜(沖縄では1月下旬に満開)
花弁は下向き半開濃い紅紫の萼筒が大きい花が特徴/蜜が多い/寒さに弱い

I【エドヒガン】C.spachiana f.ascendens
・東北北部を除く東北以南・(3~4月)・葉の展開・葉の基部、葉柄上部
・名は彼岸時期に咲くことに由来/萼筒が膨らむことが特徴/寿命が長く天然記念物指定が多い

◇総状花序
J【ミヤマザクラ】C.maximowiczii
・中国地方以外、亜高山帯の深山【C】より遅咲(関東、中部で5~6月)・葉の展開・葉身基部
・分布の中心は中国北東部/葉柄、当年枝に“毛”多い/総状花序/花弁に切込がないことが特徴

さくらA


◎「代表的な栽培品種15種の特徴」

K【染井吉野】Cerasus×yedoensis 'Somei-yoshino'
エドヒガンとオオシマザクラの種間雑種?…異説もある。葉の展開前に咲くこと、花付き、生育が良いことから明治以降の花見の主役。萼頭はくびれが小さく“毛”が多い。台木に真桜(マザクラ:Cerasus lannesiana 'Multiplex')が使われる。

L【アメリカ】Cerasus×yedoensis 'Akebono’
エドヒガンとオオシマザクラの種間雑種?米国で改良されポトマック河畔にも植えられている。

M【小彼岸】Cerasus×subhirtella
マメザクラとエドヒガンの種間雑種?彼岸に咲き樹高が低いので庭園によく使われる

N【枝垂桜】Cerasus spachiana 'Itozakura'
エドヒガンの栽培品種。平安期から社寺に植えられた。『三春滝桜』は国の天然記念物。

O【八重紅枝垂】Cerasus spachiana 'Plena-rosea'
エドヒガンの栽培品種。江戸初期から記録がある。紅色の八重咲きで、樹高も低く庭木に利用。

P【不断桜】Cerasusu serrulata 'Fudanzakura'
ヤマザクラとオオシマザクラの種間雑種?秋から春まで咲き続けることから不断桜。

Q【河津桜】Cerasus×kanzakura 'Kawazu-zakura'
カンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種?1950年頃伊豆半島で発見河津で育つ。開花は2月上旬から1ヶ月ほど楽しめる。

R【十月桜】Cerasus×subhirtella 'Autumnalis'
マメザクラとエドヒガンの種間雑種?秋から春に咲くコヒガンのなかで八重咲きのものを指す

S【寒桜】Cerasus×kanzakura
カンヒザクラとヤマザクラの種間雑種?東京で1月に開花する小型の花。

◇里桜の栽培品種
T【天の川】Cerasus lannesiana 'Erecta'
明治期より記録があり、枝は上向き芳香ある花も上を向く。庭木に利用。

U【一葉】Cerasus lannesiana 'Ichiyo’
江戸時代より記録があり、淡紅色の中心は白い。雌しべが葉化して緑色を呈すことが多い。

V【普賢象】Cerasus lannesiana 'Albo-rosea'
室町時代より記録がある。葉化し突き出す2本の雌しべを普賢菩薩が乗る白象に見立てた

W【関山(かんざん・せきやま)】Cerasus lannesiana 'Sekiyama'
江戸後期より記録がある。紅色の八重咲きで、寒さに強く病害に抵抗があるため全国展開。

◇里桜の栽培品種⇒緑~黄緑色の花
X【鬱金(うこん)】Cerasus lannesiana 'Grandiflora'
江戸中期から記録がある。花弁は淡い黄緑でウコンの根で染めた鬱金色。(★つぼみは淡紅色)

Y【御衣黄(ぎょいこう)】Cerasus lannesiana 'Gioiko'
江戸時代より記録がある。鬱金に比べ濃緑色が混ざりグラデーション状の花弁は厚く反り返る。



cherryblossoms   桜と記憶   cherryblossoms

『桜』はなにかと生活の節目と切り離せない。
入学、卒業などの時期でもありことさらに感じる。

だいぶ以前、明治生まれの伯母が、病室から眺める『桜』に表情を和ませた覚えがある。
そして「また来年『桜』を見ることができるかしら」とつぶやいていたことも『桜』が咲くと思い出す。

震災の被災地に、何事もなかったように花をつける『桜』がある。
一瞬、やり切れない辛さを忘れ、惹きこまれてしまう『桜』がある。

咲いたと思う間もなく散りはじめ、あっという間に過ぎゆく『桜』。
無意識のうちに、いろいろな記憶を呼び覚まし、また新たな記憶が『桜』に重なる。
こんな存在の樹は『桜』のほかにない。



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テーマ : アウトドア
ジャンル : 趣味・実用

『ヒマラヤの青いケシ』大陸移動から気候変動、発見の歴史、種の分類まで【青いケシ】の話題を凝縮。約50種の特徴と写真も掲載された貴重な一冊。

■ヒマラヤの青いケシ■


前回の『チベットに咲く青いケシ』に関連した書籍の紹介です。

進化の筋道に沿って分類体系を確立することに関心を持つ著者が『ヒマラヤの青いケシ』(メコノプシス属)の多様性と分類を対象に書下ろした貴重な一冊。

大陸移動など気球規模でのヒマラヤ生成から気候変動なども盛り込まれ、単に【青いケシ】の分類体系を解説した書とは違い大きなスケールでヒマラヤの形成とともに青いケシを捉えている。

意外なことに、メコノプシスの最初の命名は、ヨーロッパの野生種【Meconopsis cambrica】。黄色の花をつけるカンブリカ種はイギリスを中心に西ヨーロッパに分布している。そして、この両種の隔離分布と、属レベルでの分類の違いについても解説がある。

【青いケシ】を通して、大陸移動から気候変動、種の分類、また、ヒマラヤ・中国奥地の解放など概略が理解しやすい。
【青いケシ】にまつわる話題が凝縮され、この植物に興味ある方必読の一冊です!



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大場秀章(おおば・ひであき)著
2006.02.20.初版第一刷
山と渓谷社




★★★★☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★★ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価

 



◆ 感銘・共感・知見の一文 ◆

◎【メコノプシス:Meconopsis】 ★Keyword=【Meconopsis】【M. cambrica】P14
・ケシ科の植物で、ヒマラヤの【青いケシ】の仲間に対する属名。「mecon:ケシ」「opsis:似ている」という意味のギリシャ語。
・メコノプシスの最初の命名は、意外なことにヨーロッパの野生種【Meconopsis cambrica】。西ヨーロッパの標高600mほどの湿った日陰地に生育する。花は黄色で橙色の変種・園芸品種もあり、多くの庭園に植えられている。そこからさらに逸出し野生化したものも多い。
(著者はこの種は分布・属性ともに他の【メコノプシス属】とは異なるため【ケシ属】に含めた方が適切…とある)
・1753年、リンネにより【Papaver cambricum】(パパウェル・カンブリクム)が最初に与えられた学名。(種小名はウェールズ地方を指す)
・1814年、A.ヴィジュイエにより雌しべの形態的違いから【Meconopsis属】を設けることになる。
・1855年、J.D.フッカーにより代表的な【Meconopsis horridula】が「インド植物誌」に記載される。
・中国名は「緑絨蒿」。すべての植物に中国名がつけられている。

◎「ヒマラヤ奥地生成の歴史」 ★Keyword=【植物相】P18
・ユーラシア大陸南部は、ゴンドワナ大陸から分裂したインド亜大陸の衝突により押し上げられ、
ヒマラヤ、チベット高原、横断山脈が形成される。中生代末期から今なお続く大陸移動によりもたらされた地形である。
(ゴンドワナの名の由来はインド半島の一民族の名前、押しあげられた結果ネパールなどではアンモナイトの化石が産出する。)
・海面から5,000m以上も隆起したため、大気の循環にも影響。夏にインド洋で発生する熱帯性気団モンスーンの北上を拒み、冬にシベリア気団の南下を拒み東西方向へと流れを変える。影響は日本にも及び、日本海側に大雪をもたらしている。
・特にチベット高原は、標高・降水量の違いにより多様な環境が生じ、【植物相】も多様で豊かなものになっている。湿潤地と乾燥地がモザイク状に出現するチベットの【植物相】はヒマラヤに比べ変化と多様性に富んだものとなる。
★ヒマラヤ・中国奥地の植物の歴史
・氷河期に【植物相】は壊滅しているため、現在の間氷期の【植物相】は氷河期以前とは別の種により構成されている。(花粉化石・植物化石により証明されている)
・現在、東ヒマラヤはモンスーンの影響が長く及び夏も雨が多く湿潤、西ヒマラヤでは降水期・降水量が少なく乾燥する。

◎「【メコノプシス】が生育する高山帯」 ★Keyword=【森林限界】【雪線】【高山帯】P22 
・植物学では【森林限界】と【雪線】の間の地帯を【高山帯】と呼ぶ。
・【メコノプシス属】の植物はこの【高山帯】に生育。
★ヨーロッパの【カンブリア種】は平地に生育するためこの点が異なる。
★【メコノプシス】の生育地は、中国の辺境である雲南省、四川省、チベットであり、1950年以前、中国としても充分な資料はなかった。
■用語■
雪線
万年雪の始まる標高を結んだ線のことで、この線より上で植物は生育できない。
森林限界
森林が分布する上限の地点。これより上は高山の【お花畑】が広がる。
樹林限界(高木限界)
森林を形成する高木が姿を消す地点。



◆ ポイントひろい読み BEST 5 ◆

○「ヒマラヤ・中国奥地の解放」P6
・ヒマラヤ奥地の秘境ともいわれた地の植物に一般の人々が接することができるようになったのは、最近の20年ほどのこと。
・著者が最初に触れる機会となったのは昭和36年(1961年)の「日本植物の祖先を探るシッキム・ヒマラヤ展」。
【Meconopsis paniculata】と呼ばれる淡い黄色のメコノプシス属との最初の出会いとなる。

○「【青いケシ】M.ホリドュラに見る著者の想い」P10
・【青いケシ】の花の色は晴天の空を模していて、雲間の青空と思って昆虫が集まるのではないか…。
・雨の日には横向きの花が下向きに変わる不思議なふるまいを発見したとある。下向きの花は昆虫に雨宿りの場を提供。
(雨の日に昆虫は雲間の青空と感じているのではないか。このような植物を「雨傘植物」として研究対象にしたいとある)

○「ヒマラヤ植物が栽培できるイギリスの気候」P13
・寒冷地であるイギリスでは、【青いケシ】の生育に気候が合うため早くから栽培されている。
・イギリス園芸協会の記事にも登場し、愛好家、コレクターなどファンも多い。
☆高温多湿の日本では栽培が難しいため【青いケシ】の知名度は低かったが、1990年の花博でブータン館に【青いケシ】が展示され、一躍人気となる。

○「ヨーロッパに存在する【メコノプシス】」P26
・ヨーロッパの【カンブリア種】とヒマラヤの【メコノプシス属】の間は【メコノプシス属】が全く見られない空白地帯。なぜこれほど離れた隔離分布となるのだろうか。(分布地が色分けされた地図が掲載されている)
・形態的な違いは【カンブリア種】に剛毛がないこと。植物学では種により“毛”は一定しているため分類上の重要な注目点である。
★ヨーロッパのメコノプシスとヒマラヤ・中国奥地のメコノプシスでは“属”レベルの違いがあることを認識する必要がある…と著者。

◎「ネパールの高山帯の植物」P25
・ヒマラヤ中央に位置する標高4,000以上の地域には1,223種317属の植物が知られている。この半数の595種は僅かに29属に分類される。
・種の多い順に、ユキノシタ/シオガマギク/サクラソウ/リンドウ/トウヒレン/エンゴサク/スゲ/イワベンケイ/トリカブト/イチゴツナギ/イグサ/キジムシロ/ヤナギ/ノミノツヅリ/ヒゲハリスゲなどで、【メコノプシス】と【クレマントディウム】(キク科)以外は日本や北半球のほかの地域にも生育している。
・ヒマラヤや中国奥地でも日本人に馴染みの植物が多いことがわかる。
★29属の高山に生育する種の61%が、ネパール・ヒマラヤの固有種。



◆ チェックポイント ◆

◎「プラントハンター黄金期」P56
・1843^1950年の100年ほどの時期にヒマラヤ、チベット、中国奥地で植物学者やプラントハンターが活躍した。
・イギリスは世界各地に植民地を持ち、プラントハンターの活動に影響力を持っていた時期。
・【押し葉標本】としてヨーロッパへ渡り、分類学の標本室へ、種子は植物園や種苗商、コレクターの手へ渡る。標高3,000mを超える高山の植物は、イギリスを含むヨーロッパ北部の戸外で生育できることから庭園植物としてもてはやされた。
(モクレンの属、シャクナゲ属、メコノプシス属、プリムラ属、ユリ属など)
・ジョセフ・ダルトン・フッカー、ロバート・フォーチュン(ロンドン園芸協会から派遣された園芸家)などにより多くの植物が持ち込まれた。

○「宣教師による植物調査」P60 
・1980年代には2800人もの宣教師が中国で布教活動をしていたが、このなかの何人かは植物採集と標本作りに時間を割いていた。
・横断山脈で活躍した A.ダヴィット神父は【ハンカチノキ】と【パンダ】を発見している。
・雲南省で活躍した P.J.デラヴェ神父は20万点にのぼる標本を採取した。そこには1500種の新しい植物が含まれていたといわれている。
雲南省北西部、四川省南西部からチベット東部に至る横断山脈地帯は、植物の多様性が飛びぬけて高い世界有数のホット・スポット。

○「カルカッタ植物園」P66
・1958年以降、植民地政府による植物調査が行われその基地としての機能を果たしたのが『王立カルカッタ植物園』。
・当時、育種技術は未熟なため、新しい植物は世界各地に魅力ある植物を追い求め探す必要があった。

○「【メコノプシス】に縁の植物学者D.プレイン」P67
・デイヴィット・プレイン卿は1958年生まれのイギリスの植物学者。1887^98年、王立カルカッタ植物園で植物標本室管理官として、インド地方の植物研究に携わる。
・M.ホリドュラ種の変異が広いことを当時から指摘。茎の先に1花をつける種、多数を総状花序としてつける種もある。ヒマラヤに限らず雲南省やチッベットでも多様化していることを指摘。
・1905^22年、帰国後キュー植物園園長の要職を務める。
・1904年、中国奥地で【メコノプシス】の新種が次々発見され、これらの研究にも携わる。



◇◇◇ Meconopsis ◇◇◇

チベットのラサ郊外で『青いケシ』に出逢うまで、これほどの種があるとは知らなかった。ガンデン寺の巡礼路で撮影してきた写真をもとに検索したが正式名にたどりつけない。頼りの『ヒマラヤ植物大図鑑』でも数々の『青いケシ』が掲載されているが、これらのどれとも少し形態が違う。地域により変異があること、自然交配により交雑するため「Meconosis sp.」(メコノプシス属の一種)とするしかないことがわかった。

それにしても『青いケシ』にこれだけの歴史があったことに驚き、また感心する。植民地時代のこと、宣教師が植物調査をしていたこと、プラントハンターが重要な存在であったことなど改めて知ることになった。カルカッタ植物園にも植民地時代の歴史が色濃く残る。今ほど交配や品種改良の技術がなかった時代に、未知の世界へ魅力的な植物を探査する時代背景までもが浮かび上がる。

近くて遠い存在のチベット、そして中国奥地。現地では有用植物の知識はいろいろあるが、『青いケシ』など利用されない植物は興味ももたれない存在。現地の人にとっては、日ごろ目にしていることもあり、特別の花でもない。旅行者の日本人が『青いケシ』を特別視する方が理解し難く映る。チベットでは、そんな存在の『青いケシ』である。



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テーマ : 散策・自然観察
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Dr.kusaichi

Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
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科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
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★お薦めフィールド図鑑★


◆【声が聞こえる『野鳥図鑑』】
各ページにドットコードがあり、サウンドリーダーで再生。生きいきした鳥の声を聞けます。 地鳴、さえずりも別に再生できる優れもの。



声が聞こえる!野鳥図鑑増補改訂版





◆【声が聞こえる『カエル』】
『野鳥図鑑』に続く『カエル』良くこれだけの収録ができたと驚く内容です。 野鳥と同じサウンドリーダーで再生可能の優れもの。



声が聞こえる!カエルハンドブック





◆【日本帰化植物写真図鑑】
雑草と呼ばれる草本類の“外来種600種”が掲載され野外観察に心強い1冊。



日本帰化植物写真図鑑改訂





★樹木図鑑(携帯用ポケットガイド)

◆【庭木・街の木】ポケットガイド④
身近な庭木275種、413品種を収録。 フィールドで使いやすい。



庭木・街の木





◆【野山の樹木】ポケットガイド⑨
日本に自生する樹木372種400品種を収録。 庭木・街の木の姉妹版。



野山の樹木





★野草図鑑(携帯用ポケットガイド)

◆【街・里の野草】ポケットガイド②
四季の普通にみられる野草295種を紹介。 写真と解説がコンパクトで分かりやすい。



街・里の野草





◆【野山の野草】ポケットガイド⑩
野、山、水辺のよく見かける野草391種を紹介。 街・里の野草の姉妹版。



野山の野草





★昆虫図鑑

◆【野や庭の昆虫】
植物との関係から昆虫を表示している点が特徴。 庭、野山、作物、畑などに分けられ検索しやすい。



野や庭の昆虫





◆【昆虫の集まる花ハンドブック】
昆虫により花粉が運ばれる虫媒花を中心に142種の受粉方法、仕組みを解説。 気軽に観察と推理が楽しめる。



昆虫の集まる花ハンドブック





★こんな図鑑もありますョ!

◆【イモムシハンドブック】
チョウ類91種、ガ類135種、の合わせて226種を掲載。 幼虫、さなぎ、成虫の写真、ここまでの資料に感激。



イモムシハンドブック





◆【冬虫夏草ハンドブック】
漢方薬でよく知られる冬虫夏草。 基本から見分けまで見ているだけでも楽しい図鑑。



冬虫夏草ハンドブック




◆【ベリーハンドブック】
ツツジ科とバラ科の“ベリー”と呼ばれる実を付ける植物の図鑑。 女性に人気のベリー、こんなにたくさんあった!



ベリーハンドブック




★お薦めフィールド図鑑
                          (季節編)★


◆【日本の桜】
サクラ、栽培品種から、モモ、リンゴまでわかりやすく分類。 写真が鮮明で桜の季節に、必携の図鑑。



日本の桜増補改訂版




◆【日本のスミレ】 
山渓ハンディ図鑑⑥
可憐で人気のスミレ。しかし地域種あり、交雑種あり外来種もある。 検索表でまず見当を付けることから見分けるスミレ専門の図鑑。



日本のスミレ増補改訂




◆【日本の野菊】 
山渓ハンディ図鑑⑪
『検索チャート』『見分け方コラム』で野菊を見分ける手法を詳しく解説。 どこで見分けるかのポイントがつかめる。



日本の野菊




★じっくり調べる図鑑★
各部の詳細写真が多く分かりやすい。

◆【樹に咲く花】離弁花①

樹に咲く花(離弁花 1)改訂第3版


◆【樹に咲く花】離弁花②

樹に咲く花(離弁花 2)2版


◆【樹に咲く花】合弁花他③

樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)改訂第3版


◆【野に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑①


野に咲く花


◆【山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑②


山に咲く花4版


◆【高山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑⑧


高山に咲く花


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