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『キノコの教え』生物界で重要な役割を担う菌類。その役割をわかりやすく解説している。共生するキノコを通して人の生き方まで提唱。お薦めの一冊!

■キノコの教え■4月新刊


世界中で森林が衰退している一因は、樹木とキノコとの共生関係にあるという著者。
自然破壊、環境汚染、気候変動などの状況下では、生物界のなかで重要な役割を担う菌類について理解する必要がある。本書で「この菌類の役割がいかに大きいか」を語る。話題は広く、木材腐朽菌、落葉分解、菌根菌との共生についても語られる。普段、あまり気にかけない微小な菌類の世界が浮かび上がる。

景勝高田松原の話題がある。
震災の数年前から、マツが弱り始めたため著者に樹勢回復の依頼があったことが記されている。マツノザイセンチュウ被害はほとんどなく、気象の影響でもない。最近、大潮の時に潮位が上がり水が引かなくなっていた。地下水位が高いため、直根は3mほど、さらに水位が上がり、根が死んでマツが衰弱しているらしいと著者の指摘がある。このマツの衰退にも菌根菌の存在がある。そして、復旧事業として植林されるマツにも菌根菌を接種し、炭粉を施す効果を指摘する。

■高田松原■
長さ2㎞、幅100m、7万本のマツの樹高>12m。江戸期に植えられ、300年以上守られてきた。

『科学は善、進歩は正義』としてきた思考に疑問を呈し、これからは『共生の哲学』を広める必要性を説く著者。ブータン王国の幸福度を例にして『小欲知足』の実践を提唱する。


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『キノコの教え』
小川眞(おがわ・まこと)著
2012.04.20. 第一刷
岩波新書(新赤版)1365

★★★★☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★☆ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価





◆ 感銘・共感・知見の一文 ◆

◎「意外な知見」
・「キノコの名前を覚えるには、食べるのが確か」と著者。噛んで見ることを勧めているが絶対に飲み込まないこととある。「毒キノコ」の見分け方は、「ルールがないことが唯一のルール」。
・良い味のキノコは、土から生える【菌根菌】。【木材腐朽菌】は「シイタケ」「マイタケ」を除きほとんど味がない。
・中国料理の「フクロタケ」は、家畜の排泄物と藁を混ぜた堆肥で栽培される。自然界でタンパク質や窒素が多いのは“死骸”と“排泄物”であることを考えれば納得…。

◎「重金属の選択吸収」 ★Keyword=【木材腐朽菌】【腐生菌】【菌根菌】 P40 
◆ 重金属
・栽培されているキノコでは「マッシュルーム」「シイタケ」が重金属を吸収する。水銀を吸収するキノコは【腐生菌】に多い。
◆ 放射性セシウム
放射性セシウムの多いのは、土から生える【菌根菌】。セシウムは粘土鉱物に吸着されやすいため植物やキノコに吸収されやすい。野生のキノコでは高く、鋸屑による菌床栽培では低い値。
・有機物の少ない酸性土壌の場合セシウムの吸収が多くなる理由は【菌根菌】の多くが酸性土壌を好み、P、K、Mg、Caなどのミネラルを選択吸収するため。これに対し【木材腐朽菌】【腐生菌】の吸収は低い。理由は、Pやミネラルを摂り込む能力が低いため。
★アルカリ金属のセシウムは、周期表でカリウムと並んでいるため、カリウムと混同して摂りこまれやすい。

◎「樹木の衰退と【菌根菌】」P141  
・多くの【菌根菌】は、根を通して樹木から養分を受け取るが、樹木が衰退し養分供給が減るとキノコが出なくなる。一方、林の衰弱が進むと「ハナイグチ」「シモコシ」が大発生することが多い。これは養分の供給が減りキノコの生育環境が劣化したため子実体を大量に発生させているらしい。
・【菌根菌】は重金属などを選択吸収するため、汚染物質による成長阻害が考えられる。根も環境汚染により衰弱すると【菌根菌】も消滅し、さらに樹木が衰弱する。

◎「【菌根菌】をつくる樹種の集団枯死」P148
・1970年代、欧州で大気汚染の増加した時期に、欧州東部で針葉樹、広葉樹が集団枯死した。
・東南アジアにおいても同じ現象が起きだしている。「マツ枯れ」「ナラ枯れ」そして、「カラマツ」「トウヒ」が枯れている。
★これら「マツ科」「ブナ科」の樹木は【菌根】をつくる樹種。この【菌根菌】が減少していることは、キノコの量が減ったことで裏付られる。
・【導管】の水の吸い上げを阻害する「菌」「線虫」とこれらを伝播する「昆虫」が増えた背景に大気汚染や土壌汚染があると思われる。

◎「木炭による樹勢回復」P156
・木炭は多孔質のため、空気や水の保持力がある。アルカリ性であることから、特定の微生物が増殖し【菌根】や【根粒】の形成を促す効果がある。
★【菌根菌】は酸性を好むものが多く、アルカリ性では「シュウロ」「コツブタケ」「キツネタケ」など。しかし【土壌病原菌】は酸性を好むため、アルカリ性が有利に働く。
・「コナラ」などでは、根もとの細根を露出させ3cmほど炭を敷き詰めると【菌根】を形成する。
・【アバスキュラー菌根】を形成する「スギ」「サクラ」「ツバキ」「カエデ」などでは、堆肥と混合し表土を溶いて菌を接種すると効果がある。
・ミネラル含有の高い広葉樹樹皮の炭が効果大、針葉樹の炭は無難。黒炭が有効。(白炭は、孔が細かくアルカリ性が強いため不適。モミガラ燻炭は砕けやすく効果が続かない、竹炭もアルカリが強い)



◆ ポイントひろい読み BEST 5 ◆

◎【菌糸】P9  
・植物の細胞が細胞壁と細胞膜で外部と接するのに対して【菌糸】の細胞は細胞膜一枚。窒素を多く含むキチン質が主成分であるため分解されにくい。
・【菌類】は【菌糸】から構成され【菌糸】が集まり【菌糸体】となる。原始的な【接合菌】の【菌糸】は仕切りはないが【子嚢菌】【担子菌】には仕切りがある。
・養分吸収の方法は【菌糸】から酵素を出して分解し炭水化物を水と共に吸い上げる。カビやキノコが湿った場所で生育する理由がここにある。

◎【地衣類】P14
・【地衣類】は【菌類】と【藍藻】が合体した完全な共生体で切り離しては生きていけない。
・【地衣類】の【菌類】の大半は、小さなキノコを形成する【子嚢菌の盤菌類】。

◎「植物と共生」 ★Keyword=【アーバスキュラー菌根】 P15
・4億年前のデボン紀の根の化石に【アーバスキュラー菌根】に似た化石が見つかったことから、陸上植物と共生していたといわれている。植物体を大きくし厳しい環境下で生育、拡散できたのもこの【菌類】との共生ができたためらしい。

◎「【倒木更新】【根株更新】」 ★Keyword=【倒木更新】【根株更新】 P113
・「ヘムロック(ベイツガ)」の【倒木更新】【根株更新】は、褐色腐朽の始まった倒木に限られる。【セルロース】が分解され生じた有機酸により強酸性となるため【腐生菌】や【細菌】の増殖できない無菌状態の苗床とになる。さらに、乾燥期でも水分60%、高温期でも20℃ほどに保たれている。
★有機物の多い地表の種子は、病原菌により立ち枯れてしまう。

◎【シュウロ】P166
・時折潮を被る若い松林に発生しやすく、菌糸が砂の粒子を固定するため砂丘が安定する。
・【シュウロ】の菌根に空中窒素固定菌【アゾトバクター】が見つかる。フタバガキでも同じ現象が見つかることから、多重共生をして窒素を供給しているらしい。
・クロマツを砂浜に植樹することは難しいため、古来よりいろいろ試行錯誤されてきた。なかにクロボクを使う方法があり、クロボクの盛土から【シュウロ】が多発している。炭と同様炭素が多く含まれる共通点がある。
・今回の津波による潮の被害も【シュウロ】が菌根をつくっていたクロマツは生き延びている。【シュウロ】を接種した苗の植穴に炭粉を施していた記録が紹介されている。

◇【トリュフ】との違い
・石灰岩の多いフランスペリゴール地方でとれるものが【黒トリュフ】と呼ばれる。アルカリ性土壌を好み、オーク類に菌根を形成する。
【トリュフ】は【子嚢菌の盤菌類】であるのに対し、【ショウロ】は【担子菌の腹菌類】。
・広葉樹に外生菌根を形成する子嚢菌としては珍しい【菌根菌】。
・セイヨウシュウロ目にイモタケ科、ジマメタケ科、セイヨウシュウロ科があり、【黒トリュフ】はセイヨウシュウロ科、イタリア産の【白トリュフ】はイモタケ科に分類される。
・日本でも「クロアミメセイヨウショウロ」「イボセイヨウショウロ」などの近縁種が発見されている。



◆ チェックポイント BEST 3 ◆

◎「【菌類】の分類」 ★Keyword=【子嚢菌類】【担子菌類】【不完全菌類】 P23
・真菌類には【接合菌門】【ツボカビ門】【グロムス門】【担子菌門】【子嚢菌門】が含まれ、さらに13のグループに分けられる。その中で【子嚢菌類】【担子菌類】は最も進化したグループ。
◆【子嚢菌】
・子嚢のなかに8個の胞子を形成。多様化して子実体の形状も複雑になるが、食用にされる子実体は少なく「トリュフ」「アミガサタケ」が知られる。
・子実体を形成しないで胞子だけをつくる【不完全菌類】のペニシリウム(アオカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、フザリウム(アカカビ)や【酵母】(出芽酵母、分裂酵母)もこの仲間。
植物の病原菌や動物の寄生菌も多く含まれる。【担子菌】に比べ木材を分解する菌は少ない。
■子嚢菌■
微小な子嚢を形成しその中に胞子をつくる。【担子菌】とともに【真菌類】中の7割程度を占める。【酵母】のような単細胞生物から、酵母に近い【糸状菌】、子実体をつくるものまで含まれる。キノコをつくるものあるが、大部分は、小さな子実体を形成することから微小菌類とよばれる。
★【地衣類】となる菌類の大部分が含まれ、【不完全菌類】の大部分もここに含まれる。

◆【担子菌】
・【子嚢菌】に比べ寄生菌や病原菌は少ないが「サビキン」「クロボキン」は病原性のある【寄生的共生菌】、「紫紋羽病菌」「ナラタケ」などは樹木に寄生する。
・主に植物遺体を分解する【腐生菌】と樹木の根に共生する【共生菌】。
・菌蕈類(きんじんるい)の「マツタケ」や腹菌類の「ショウロ」もこの仲間。
■担子菌■
サビ菌類、クロボキン類、菌蕈類に大別される。菌蕈類は子実体を形成
キノコの形状は、柄の先に傘があり下のひだに、担子器が並ぶ。⇒【ハラタケ類】
「カワラタケ」「サルノコシカケ」などの子実体は堅く、成長しながら胞子をつくる。
★「サルノコシカケ」という種は存在しないため、サルノコシカケ科とするのは暫定的な処置。
「スッポンタケ」「ホコリタケ」の胞子は、袋の中で形成される。⇒【腹菌類】
「キクラゲ」などは、寒天質または膠質の子実体をつくる。⇒【膠質菌(こうしつきん)類】
菌糸形態にならない単細胞状の菌。⇒【酵母(担子菌酵母)】
★担子菌分類は諸説あり分類体系により異なる。『菌蕈類』の表現を使わない分類が多い。
■酵母■
【酵母:yeast】は、生活環の一定期間に単細胞性を示す【真菌類】の総称。子嚢菌に属しているものが多いが、担子菌に属するものもある。生活史の中で酵母型と菌糸体型の形をとるものもある。子嚢菌門半子嚢菌綱には、酵母の仲間、酵母に近い性質のカビが含まれ、接合により融合した細胞が減数分裂して細胞内に胞子を形成する。

◎「【褐色腐朽菌】【白色腐朽菌】」 ★Keyword=【褐色腐朽菌】【白色腐朽菌】 P86
・【褐色腐朽菌】は【リグニン】を分解することがでないため褐色に、【リグニン】を分解できる【白色腐朽菌】は白色になる。【褐色腐朽菌】は【子嚢菌】【担子菌】の硬いキノコに多く、【白色腐朽菌】は【担子菌】の柔らかいキノコに多い。
・針葉樹は【褐色腐朽】、広葉樹は【白色腐朽】しやすい傾向がある。
【セルロース】から【リグニン】まで完全に分解できるのは【担子菌】の「ハラタケ目」と「腹菌類」に限られる。「シイタケ」「ヒラタケ」「エノキタケ」「マイタケ」などは【白色腐朽菌】。
★【リグニン】を分解できる【担子菌】が出現するジュラ紀までは、樹木は枯れても分解されないまま積み重なり“石炭”となったと思われる。【白色腐朽菌】の出現までの時期に“石炭”ができたことになる。

◎「【菌根菌】との共生」
◆「マツの【菌根菌】」 ★Keyword=【外生菌根】【内生菌根】 P106
・「マツ」の仲間は、維管束が2つ並んでいるため、根の先端が二股になりやすい。一方は主根へ他方は側根となるが【菌根】ができるのは側根。側根に胞子が触れ、発芽して【菌糸】が根を包み込むと、成長ホルモンが働き盛んに分枝する。
★【外生菌根】を形成するのは「マツ科」「ブナ科」「カバノキ科」「ヤナギ科」などの風媒花。
★【アーバスキュラー菌根】【ラン菌根】など、細胞内に入る【内生菌根】と区別される。
・【菌糸】は根の届かない場所のリン、ミネラルを水と共に吸収し植物へ、植物からは糖類など炭水化物が供給される。「マツ」が、岩場、砂浜など乾燥した貧栄養の場所で育つのも【菌根菌】との共生のお蔭。
・【菌根菌】と共生していると、立ち枯れ病菌の「フリザイム」などの侵入を防ぐ作用もある。
養分のある土壌では【菌根菌】がほとんどつかないため、根の成長が貧弱で、この苗を移植しても活着が難しい。

◆「フタバガキの【菌根菌】」P120
・ラワン材となる「フタバガキ(メランティー)」科の植物は、【腹菌類】の「スクレロデルマ・コラムナレ」が【菌根】を形成し共生する。この【菌根菌】が付くと、根の枝分かれが促進され成長が良くなる。苗木では【菌根菌】の有無で2~3倍もの差がつく。
★菌根菌との共生が盛んになった時期は、ヒマラヤ山脈形成の6,500万年前と符合する。そして【菌根菌】と共生する植物はすべて大木である。

◆「ユーカリの【菌根菌】」P126
・発芽した苗を育てると、5m/年も成長する。2年ほどで、「キツネタケ」「コツブタケ」「スクレロデルマ」などのキノコが出てくる。高温と乾燥、そして火入れになど過酷な環境下に育つ植物は【菌根菌】の存在が不可欠で共生関係を保ってきた。
≪ここの【菌根菌】は、火に強く炭を好む。火入れという特殊な環境に適応している≫

◆「タイガ、ツンドラの【菌根菌】」P134
・アンカレジ周辺の「シトカプルース(トウヒの仲間)」「カラマツ」など針葉樹「ハンノキ」「ヤナギ」などは「ローソンヒノキ」を除き【外生菌根菌】と共生。
・フェアバンクスより北のタイガでは「トウヒ」「カンバ」「ポプラ」、さらに北のツンドラでは矮性の「カンバ」「ツツジ」類が生育するが、子実体の出ているキノコの下には菌糸に包まれた【菌根】がある。
『根は【菌糸】で覆われている。【菌糸】が保温の役割を果たしているため凍結しないのだろう』同じように湿地の「ヤナギ」の根は、冬季は氷に夏季には水に浸される。この根も【菌糸】で覆われている。『【菌糸】が水中の溶存酸素を吸収して根に送るので、窒息しないのだろう。「ヤナギ」「ポプラ」が寒い地方で生き残れるのも【菌根】のお蔭』と著者。


symbiosissymbiosis  樹木との共生  symbiosissymbiosis

菌界はなかなかつかみどころのない世界。
山野で出逢うキノコにしても、見たこともないようなキノコも多い。
あまりの種類の多さに迷路に迷い込み、よくわからない世界であることを実感する。
まして、子実体をつくらない菌類など捉えどころがない。

これとは別に、本書に紹介されているような菌根菌の存在が解ってくると、
樹木との共生関係が読み取れて、また新たな菌界の一面が浮かび上がる。
多くの樹木と共生して、菌根菌なしには成長できないほどの結びつきがある。

先日、九十九里のマツ林復旧ボランティアに参加して苗木を植えてきた。
その中に菌根菌を接種し、炭粉を敷き詰めて植えた区画がある。
この菌根菌がマツの稚樹に菌根を形成する環境は貧栄養土壌。
肥料分の多い土壌では、菌根菌の活躍の場がなくなる。
この関係を理解しないと稚樹はうまく活着しない。

複雑な菌界の一面のそのまた一部が少し見えたような実感がした。


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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

『冬虫夏草ハンドブック』ふしぎな生物、変わった生物、ここに面白みを感じる方、興味をもつ方、必見!お薦めです。

■冬虫夏草ハンドブック■


【冬虫夏草】とは、昆虫などの宿主にとりついた後、その宿主の体を栄養源として成長するキノコのこのこと。世界に580種が知られ、なかでも日本は【冬虫夏草】の宝庫で、現在も新種が発見され続けている。生態上も不明なことが多く、この点からも興味が尽きない。(はじめにより)

人里や都市など身近な環境で見つけられる【冬虫夏草】を68種(類似種を含めると81種)を取り上げ解説している。このハンドブック片手に、庭や近くの公園などでも見つけられそう。いままで、あっても気がつかなかったように思えてくる。

《探索の心得》に
『地面に目を凝らし、これはキノコ、これは枯葉、これは虫の糞…と識別して、どれにもあてはまらないものがあれば、これが【冬虫夏草】』 (日本冬虫夏草初代会長)
とある。いやはや、蘊蓄ある心得、いきなり【冬虫夏草】を探しても見つからない?。
あるいは自然のなかに姿を眩ますがごとく同化しているものが多い様子が伝わってくる。

“ギロチン”と称される仲間内用語が面白い。
地中から伸びた、細くて長い“柄”、微妙に曲がりくねりる“柄”。不安定な中腰で、木の根に絡み土にまみれて伸びる“柄”を、細心の注意と根気をもって採取する様子が目に浮かんでくる。しかし不運にも切れてしまう。ここで「“ギロチン”してしまった!」と、何ともやれやれの心情を察するに充分の用語に思える。

ふしぎな生物、昔から、虫のようで草のようなその姿に、生命の不思議さと畏敬の念を感じた理由もよく分かる。
そして今、【冬虫夏草】ハンドブックとして出版されている。地中の宿主から発生している様子などが、断面写真で捉えられとてもわかりやすい。 (この努力すごい。力作!です。)
ユニークな図書を出版する文一総合出版ならではの見ていて楽しいハンドブック。
サイズもコンパクト、持ち歩きやすいところもポイント。自然好きの方お薦めです。



★詳細はこちら↓

冬虫夏草ハンドブック

冬虫夏草ハンドブック

価格:1,470円(税込、送料別)


著者・絵:盛口満(もりぐち・みつる)
写真:安田守(やすだ・まもる)
2009.06.20.初版第一刷
株式会社文一総合出版


★★☆☆☆ 難易度
★★★★☆ 蘊蓄度
★★★★★ お勧め指数
★★★★☆ 保存版
★★★★★ 編集、構成
★★★★★ 総合評価

 

◆《感銘・共感・知見の一文》◆

◎「【冬虫夏草】とは」 ★Keyword=【宿主】【子嚢菌類(しのうきん)】 P2

 生物分類
昆虫に取りつく【昆虫病原菌】のなかで、昆虫の体を養分にして【キノコ】を生成させる菌の仲間。
生物学的には、【子嚢菌類(しのうきん)】の【バッカクキン科コルジセプス属】を中心とした菌で、どの範囲までを【冬虫夏草】と称するかといった厳密な区分はない。
 
 名前の由来
古くから漢方薬として利用してきた中国。チベット高原などの高地に生育する【コウモリガ】の幼虫に寄生する菌。
【ガ】の幼虫から細長い【キノコ】が発生する様子を“虫と草の双方に変身できる不思議な生物”と捉え【冬虫夏草】と命名された。

◆ 【宿主】
昆虫以外にも、【ダニ】【クモ】のほか【ツチダンゴ】と呼ばれる【地下生菌】や植物の実に寄生するものが発見されている。そして、取りつかれる昆虫やクモを【宿主】と呼ぶ。

 発生時期と場所
主には、梅雨期前後が多いが、年を通じて発生するものもある。湿度が高い沢沿を中心に発生する。

○「【アブラチャン】の生育する斜面」P35
沢沿いの氾濫原にある落葉広葉樹林は、【冬虫夏草】の発生適地。低木層にクスノキ科の【アブラチャン】が生育し下草が少ない緩やかな斜面、林床が湿気のある場合発見の確率が高い。【カメムシタケ】などの見つけやすい【冬虫夏草】を探すと見つけやすい。



◆《ポイントひろい読み》◆
今回は分類と用語解説をまとめました

◎「発生パターンで3つの型に分類」P5

◇【地生型】 (ちせいがた)
地中の宿主から発生、菌生型を含む。

◇【気生型】 (きせいがた)
岩、幹、葉の裏などに着生した宿主から発生

◇【朽木生型】 (くちきせいがた)
朽木のなかの宿主から発生

○「【地生型】のなかにもう一種の型がある」P67

◇【菌生型】
【地生型】の発生パターンのなかで、【宿主】が地下生菌の【ツチダンゴ類】。
【ツチダンゴ類】は、樹木と【菌根】を通して共生しているため、根系に沿って発生する。

◎「生殖パターンで2つの型に分類」 ★Keyword=【ストローマ】【シンネマ】 P10

◇【完全型】 (つぶつぶ型)
有性生殖をおこなう。【胞子】は【子嚢】のなかに入り、さらに【子嚢】は【子嚢果】(子嚢殻、被子器)に入っている。
【ストローマ】(キノコの部分)を拡大すると【子嚢果】がつぶつぶに見てくる。

◇【不完全型】 (こなこな型)
無性生殖をおこなう。キノコに【子嚢果】の“つぶつぶ”はなく、先端は“こなこな状”になることが多い。
★この場合、【ストローマ】ではなく【シンネマ】と呼ぶ。これは【分生子】と呼ばれる無性的胞子
【宿主】の体表が菌糸と分生子で覆われるだけで、キノコをつくらないものもあり、この場合には【冬虫夏草】とは呼ばない。
★同じ菌でも【完全型】になると【冬虫夏草】になる場合がある。
★【完全型】【不完全型】の区分は、菌類共通の分類法。【完全型】は、有性生殖を行う世代のことで、キノコなどで胞子をつくる。



■用語(5例)■

 子嚢菌類
・【シイタケ】など傘型のキノコは【担子菌類】
・【冬虫夏草】のほか【ツチダンゴ】(地下生菌)、【トリュフ】が含まれる。

□ バッカクキン科
 【イネ科】の小穂などに寄生する菌。食べると中毒を起こすことがある。麦角アルカロイド【エルゴトキシン】が含まれ、血管が収縮し手足の壊死を起こすことから、ヨーロッパでは“聖アントニウスの火”と称された。

□ ストローマ
 【完全型】の【冬虫夏草】のキノコ状の部分

□ シンネマ
 【不完全型】の【冬虫夏草】のキノコ状の部分

□ ボーベリア
・【不完全型】の昆虫病原菌の一種で、宿主の体表に白いカビ状の菌で覆われるもの
生物農薬として研究開発されている。

■【冬虫夏草】仲間内用語(2例)■

□ 
【冬虫夏草】発生適地のこと。沢の氾濫原などに多い。

□ ギロチン
【冬虫夏草】採取時に、柄の途中で切ってしまうこと



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プロフィール

Author:Dr.kusaichi
日頃より、身近な科学に興味があり、新書などいろいろ読み漁り、また読み耽っています。
そんな中から、選りすぐりのお薦め書籍をご紹介します。

植物の本、昆虫、小動物、菌類からウィルスまでいろいろ登場予定。
科学の本 身近で分かりやすく、肩の凝らない本が中心。
最近話題の本も登場、その他 私の勝手にいろいろ出てきそうです。
気軽に楽しんでいただけると幸いです。

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昆虫の集まる花ハンドブック





★こんな図鑑もありますョ!

◆【イモムシハンドブック】
チョウ類91種、ガ類135種、の合わせて226種を掲載。 幼虫、さなぎ、成虫の写真、ここまでの資料に感激。



イモムシハンドブック





◆【冬虫夏草ハンドブック】
漢方薬でよく知られる冬虫夏草。 基本から見分けまで見ているだけでも楽しい図鑑。



冬虫夏草ハンドブック




◆【ベリーハンドブック】
ツツジ科とバラ科の“ベリー”と呼ばれる実を付ける植物の図鑑。 女性に人気のベリー、こんなにたくさんあった!



ベリーハンドブック




★お薦めフィールド図鑑
                          (季節編)★


◆【日本の桜】
サクラ、栽培品種から、モモ、リンゴまでわかりやすく分類。 写真が鮮明で桜の季節に、必携の図鑑。



日本の桜増補改訂版




◆【日本のスミレ】 
山渓ハンディ図鑑⑥
可憐で人気のスミレ。しかし地域種あり、交雑種あり外来種もある。 検索表でまず見当を付けることから見分けるスミレ専門の図鑑。



日本のスミレ増補改訂




◆【日本の野菊】 
山渓ハンディ図鑑⑪
『検索チャート』『見分け方コラム』で野菊を見分ける手法を詳しく解説。 どこで見分けるかのポイントがつかめる。



日本の野菊




★じっくり調べる図鑑★
各部の詳細写真が多く分かりやすい。

◆【樹に咲く花】離弁花①

樹に咲く花(離弁花 1)改訂第3版


◆【樹に咲く花】離弁花②

樹に咲く花(離弁花 2)2版


◆【樹に咲く花】合弁花他③

樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)改訂第3版


◆【野に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑①


野に咲く花


◆【山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑②


山に咲く花4版


◆【高山に咲く花】 
山渓ハンディ図鑑⑧


高山に咲く花


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